2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

吉田秀和編訳『モーツァルトの手紙』

晴。 「3pigs」にて昼食。プール。アピタとその本屋。 吉田秀和編訳『モーツァルトの手紙』読了。すばらしい訳でモーツァルトの手紙が楽しめる。これを読んでいると、モーツァルト、じつに苦労しているな、という思いを禁じ得ない。それでも生き生きと生活し…

今村勤『物理とフーリエ変換』

日曜日。曇時々雨。 今村勤『物理とフーリエ変換』にざっと目を通す。とてもいろいろなことが書いてあるが、初歩的なことは理解しているのが前提で、自分のような者には親切な本とも思えなかった。(初歩的なこともきちんと書いてある本が好きだ。あと一行だ…

司馬遼太郎の対談集『九つの問答』/甘利俊一『情報理論』

晴。 司馬遼太郎と井筒俊彦の対談を読む。井筒先生が本格的に空海をやらずに亡くなられてしまったのは、大変な損失だったことがわかる。いろいろなところで引用されている、先生の超人的なエピソードも満載だ。また、これを読んでいると、司馬遼太郎がいま知…

こともなし

晴。 事情があって抽象的な一般論でしか語れないのだが、曖昧なことを云うけれども、今の日本の子供たちの精神状態、行動ともに、例えば十年前と比べて、ひどいことになってきているとしか思えない。いろいろ人と話をしていても、残念ながらそういうことにな…

ポリーニの新譜、ブラームスのピアノ協奏曲第一番/ベリンスキー『ロシヤ文学評論集2』/レールモントフ『ムツリイ・悪魔』

晴。 ポリーニの新譜である、ブラームスのピアノ協奏曲第一番を聴く。指揮はティーレマン、シュターツカペレ・ドレスデン。日録に書く。ブラームス:ピアノ協奏曲第1番アーティスト: ポリーニ(マウリツィオ),ブラームス,ティーレマン(クリスティアン),シュタ…

ベリンスキー『ロシヤ文学評論集1』

晴。 ベリンスキー『ロシヤ文学評論集1』読了。訳者の除村吉太郎については、先日の若松英輔の本で知った。本書はたまたま積ん読になっていたもので、こんな本を持っていたのかと自分でも驚いた。ドストエフスキーを初めて見出した文章がやはりすごい。処女…

リルケ『ドゥイノの悲歌』/赤瀬川原平『個人美術館の愉しみ』/水町勇一郎『労働法入門』

曇。 リルケ『ドゥイノの悲歌』再読。繰り返し読む。しかし、いかに手塚富雄の名訳とは云え、詩を翻訳で読まねばならないとは… それとも、錆びついたドイツ語で読む? (けれども、反対のことを云うようだが、翻訳でもすばらしいな、このリルケは。)ドゥイ…

高橋洋一『統計・確率思考で世の中のカラクリが分かる』/若松英輔『井筒俊彦』

晴。 プール。イオン。 高橋洋一『統計・確率思考で世の中のカラクリが分かる』読了。読書の筋のよい人は読まなさそうな、キャッチーな題ではあるが、中身はしっかりしたものである。ただ、確率・統計の話は全体の三分の一程度。ベイズ確率の話が面白い。残…

アンリ・ルフェーヴル『パリ・コミューン(上)』『(下)』/福嶋亮大『神話が考える』

日曜日。晴。 カルコス。 アンリ・ルフェーヴル『パリ・コミューン(上)』『(下)』読了。パリ・コミューン(上) (岩波文庫)作者: H.ルフェーヴル,河野健二,柴田朝子,西川長夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/08/19メディア: 文庫 クリック: 5回こ…

中山茂『天の科学史』

曇時々雨。 中山茂『天の科学史』読了。少し古い本でもあり、天体物理学の最新の成果を期待しても裏切られる。だいたい、著者は天文学者(というより、天体物理学者)ではなく、科学史家なのだ。過去の宇宙論や、暦の話などが面白い。イスラム暦は純太陰暦で…

中沢新一、波多野一郎『イカの哲学』

晴。 中沢新一、波多野一郎『イカの哲学』再読。ふと読み返したのだが、予想外なことに、深いところから感動した。もっとも、概念の操作だけに巧みな者には、本書は単純で、馬鹿にするような書物だろう。「世界平和のための鍵はお互いに相手(※引用者注 動物…

ブランショ『問われる知識人』/中井英夫『悪夢の骨牌』

晴。 モーリス・ブランショ『問われる知識人』読了。公表を前提とせずに書かれた、知識人論。知識人と「正義」「人間性」など。ドレフュス事件。ヴァレリー。問われる知識人―ある省察の覚書作者: モーリスブランショ,Maurice Blanchot,安原伸一朗出版社/メー…

吉田伸夫『明解 量子重力理論入門』

晴。 吉田伸夫『明解 量子重力理論入門』読了。量子重力理論を本気でやろうとすると、これはそう簡単なことではない。少なくとも大学院レヴェルの知識が必要となる。本書は、そこまでの実力はないまでも、一般概説書では満足できない人のために、学部学生レ…

上野修『デカルト、ホッブズ、スピノザ』

晴。 上野修『デカルト、ホッブズ、スピノザ』読了。シブい。これほど専門的でアカデミックな論文集が文庫になるというのは、奇妙なものである。もちろんいいことなのだが、これが出るなら、例えば、西田幾多郎の基本的な論文を全て集めたものなどが入っても…

中日ドラゴンズ、セ・リーグ連覇!

横浜戦に3-3で引き分け(^^;)、中日ドラゴンズのセ・リーグ連覇が決まりました。いや、ほんと、10ゲーム差を覆しての、奇跡的な優勝だったな。落合監督の最終年でもあり、本当に嬉しいです。マスコミはじつに冷たかったけれど、落合野球、また監督自身も最高…

アガンベン『開かれ』/ブランショ『明かしえぬ共同体』

曇。 プールで泳いで筋肉痛。アピタ。 ジョルジョ・アガンベン『開かれ』読了。開かれ―人間と動物 (平凡社ライブラリー)作者: ジョルジョ・アガンベン,岡田温司,多賀健太郎出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2011/10/07メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: …

ラスキン『この最後の者にも/ごまとゆり』/原武史『震災と鉄道』/萱野稔人『ナショナリズムは悪なのか』

日曜日。晴。 カルコス。 ラスキン『この最後の者にも/ごまとゆり』読了。この最後の者にも・ごまとゆり (中公クラシックス)作者: ジョンラスキン,John Ruskin,飯塚一郎,木村正身出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2008/05/01メディア: 単行本 クリック:…

ゲルハルト・オピッツが弾く日本のピアノ曲

ゲルハルト・オピッツが日本のピアノ音楽を録音したというので、聴いてみた。 メインは諸井三郎のピアノソナタ第二番である。30分ほどの大曲であり、聴き応えは充分だ。ライナーノートでオピッツが述べているとおり、ヒンデミットに影響を受けているのだろう…

原勝郎『南海一見』/渡辺京二『黒船前夜』

曇のち雨。 原勝郎『南海一見』読了。大正二年から三年にかけての、原勝郎の東南アジア旅行記。アマゾンで見かけるまでは、このような本があるとは知らなかった。マーケットプレイスで安かったので購入。名文家で知られる著者だが、本書の文章は雅ではあるけ…

こともなし

晴。夜雨。 今日はあまり活字を注入したくない気分。渡辺京二を少し読む。 先日の田舎写真の一枚。 # リヒテルの弾く、ショパンのバラード第一番。キエフでのライブ録音らしい。ショパンはリヒテルのレパートリーとしてあまり云われないが、この見事な演奏…

森浩一『古代史おさらい帖』

晴。夕方など、寒いくらい。 森浩一『古代史おさらい帖』読了。著者は視野の広い古代史家だ。批判的精神も旺盛なのが目に付く。本書は題名からするといかにも易しそうだが、後進のための、本格的な学術書でもある。古代史おさらい帖: 考古学・古代学課題ノー…

タイラー・コーエン『大停滞』/朴裕河『和解のために』

晴。 タイラー・コーエン『大停滞』読了。話題の書なので、読んでみた。アメリカ経済は、適切な手を打っているように見えるのに、どうして停滞しているのか、ということを論じた本である。著者の見立ては、「容易に収穫できる果実」はすべて食べつくされた、…

伊藤邦武『経済学の哲学』/『柄谷行人 中上健次 全対話』

晴。 伊藤邦武『経済学の哲学』読了。副題「19世紀経済思想とラスキン」。ラディカルなエコロジストの源泉としてのラスキン。プルーストやガンディーに深刻な影響を与えたラスキンというのは、興味深いテーマではないか。いわゆる「ディープ・エコロジー」の…

細川巌『龍樹の仏教』/ロペ・デ・ベガ『オルメードの騎士』

休日。晴。 細川巌『龍樹の仏教』読了。龍樹というと、舌鋒鋭く、何となく小難しいようなイメージがあるが、本書が取り上げている『十住毘婆沙論』なる著作は、迷える凡夫に向けて書かれたものだという。龍樹にそのような著作があったとは知らなかったが、本…

二葉亭四迷『浮雲』/久生十蘭『パノラマニア十蘭』

日曜日。晴。 カルコス。 二葉亭四迷『浮雲』読了。日本近代文学の濫觴。ありふれた恋愛小説だが、意外と面白い。でも、これって未完ではないですか。いいところで終って、続きがどうにも気になる。浮雲 (新潮文庫)作者: 二葉亭四迷出版社/メーカー: 新潮社…

小沼丹『小さな手袋』/野口雅弘『官僚制批判の論理と心理』

晴。 小沼丹『小さな手袋』読了。月並みな感想だが、しみじみした文章で好ましい。技巧を排したような技巧。作家との交友録もあるが、まったく無用な文章も少なくないというのが嬉しい。小さな手袋 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)作者: 小沼丹,中村明…

『兼好法師家集』

晴。 『兼好法師家集』読了。兼好法師家集 (岩波文庫)作者: 吉田兼好出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1937/01/15メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る

マキァヴェッリ『ディスコルシ』/鹿島田真希『六〇〇〇度の愛』/佐藤泰志『きみの鳥はうたえる』

晴。 マキァヴェッリ『ディスコルシ』読了。名著。訳文は、岩波文庫の『ローマ史論』より遥かに読みやすい。それにしても、岩波文庫のリウィウスは、続巻が出ませんね。どうしたのだろう。ディスコルシ ローマ史論 (ちくま学芸文庫)作者: ニッコロ・マキァヴ…

石井進『中世武士団』

晴。夜雨。 石井進『中世武士団』読了。自分は日本史の本を語れるほど学がないのだが、本書がとてもいい本だということくらいはわかる。中世の武士とは何かというような、大きな問題意識をもって、かなりの程度それに答えているというだけで立派だ。堅実な学…

重田園江『ミシェル・フーコー』

晴。 重田園江『ミシェル・フーコー』読了。フーコー読解のアカデミズム化が進んでいる。その中では、本書はフーコーとがっぷり四つに取り組もうという心意気が見える。幼稚くさい(学問的にという意味ではないよ)ところもさらけ出しながらの、奮闘だ。ミシ…