曇のち雨。
原勝郎『南海一見』読了。大正二年から三年にかけての、原勝郎の東南アジア旅行記。アマゾンで見かけるまでは、このような本があるとは知らなかった。マーケットプレイスで安かったので購入。名文家で知られる著者だが、本書の文章は雅ではあるけれども意外に平明であり、観察もリアリズムだ。
- 作者: 原勝郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1979/10
- メディア: 文庫
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図書館から借りてきてもらった、渡辺京二『黒船前夜』読了。明治維新からほぼ百年前の話。副題「ロシア・アイヌ・日本の三国志」が、本書の内容を要約している。シベリアから南下し、日本と貿易を成したいロシアと日本との関係に、アイヌが絡む。松前藩とアイヌの関係などは初めて知ったことばかりだった。ロシアに対応する幕府の役人らは、愚か者もいることはいるが、ユーモアを解すなどなかなか悪くない人物が多く、好奇心旺盛で人懐っこい民衆の姿と合せて、深く考えさせるものがある。
なお、著者らしく、「幕府は何でも知っていた」とか「鎖国はなかった」風の最近の史学の論調に釘を刺すなど、行き過ぎた通説には厳しい。しかし、と云って無味乾燥な記述というわけではなく、歴史書を読む楽しみに満ちた本になっていると思う。
- 作者: 渡辺京二
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2010/02/02
- メディア: 単行本
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