ラスキン『この最後の者にも/ごまとゆり』/原武史『震災と鉄道』/萱野稔人『ナショナリズムは悪なのか』

日曜日。晴。
カルコス。
ラスキン『この最後の者にも/ごまとゆり』読了。

この最後の者にも・ごまとゆり (中公クラシックス)

この最後の者にも・ごまとゆり (中公クラシックス)

原武史『震災と鉄道』読了。JR東日本の震災対応への批判などもあるが、それに留まらず、自ずから新幹線論、リニア論といった、文明・文化論にもなっている。結局震災は、現代日本の拝金主義、効率主義を変えなかった。さらに日本は、文化よりも安全を優先する国になっている。それらは本書のように、鉄道を見てもわかる。といっても、現代日本人の思想的劣化はもう仕方のないことで、それをどうするかというのが、これからの日本の課題になるだろう。本書が図らずも示しているように、鉄道は、そのための適当な定点観測の場として、うってつけのものであるように思われる。鉄道は我々の無意識の露呈する場所なのだ。
震災と鉄道 (朝日新書)

震災と鉄道 (朝日新書)

萱野稔人『新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか』読了。感嘆。デビュー作の『国家とはなにか』も面白かったが、本書のナショナリズムについての議論はまことによく考えられている上に、かつ良い意味でシンプルで力強く、読んでいて何度も唸らされた。しかし、単なる概念操作が上手い人、という感じは抱かない。自分のような者がいうのも何だが、著者はリアルに触れる才能があると思う。他の著書も読んでみたくなった。
新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか (NHK出版新書)

新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか (NHK出版新書)