マキァヴェッリ『ディスコルシ』/鹿島田真希『六〇〇〇度の愛』/佐藤泰志『きみの鳥はうたえる』

晴。
マキァヴェッリ『ディスコルシ』読了。名著。訳文は、岩波文庫の『ローマ史論』より遥かに読みやすい。それにしても、岩波文庫のリウィウスは、続巻が出ませんね。どうしたのだろう。

ディスコルシ ローマ史論 (ちくま学芸文庫)

ディスコルシ ローマ史論 (ちくま学芸文庫)

鹿島田真希『六〇〇〇度の愛』読了。今風の、よく出来た「純文学」。悪くない。主人公が夫と子供のいる生活に帰った後まで書いてあるので、これはと期待したが、なかなか難しかったようだ。そこのところほど、「文学」になるのではないの?
六〇〇〇度の愛 (新潮文庫)

六〇〇〇度の愛 (新潮文庫)

佐藤泰志きみの鳥はうたえる』読了。表題作は傑作。男二人と女ひとりの青春物語といえば、設定としてはありふれていて、陳腐であるとしか云えないかも知れない。友情、酒、暴力、性。本当にありふれている。それでも、傑作なのだ。敢て云えば、文章は力強さと柔軟性をもったすばらしいものであり、構成も完璧である。しかし何よりも打たれるのは、若い時は誰にでもあるもので、ありふれて陳腐だろうが何だろうが、青春を生きた奴が勝ちだということだ。青春というのはダサいものだが、それがよく出た、優れた小説である。正直言って自分には、著者の小説の中では、本書は一番心をうたれたものになった。
きみの鳥はうたえる (河出文庫)

きみの鳥はうたえる (河出文庫)


ツィマーマンの弾くブラームス、間奏曲op.119-1。

ポリーニの弾くブーレーズ、12のノタシオン。これは凄い演奏だ。1989年、ウィーン・モデルンにて。

ユジャ・ワンの弾く、ペトルーシュカ冒頭。機械のような超絶技巧には唖然とさせられ、ほとんど爽快感すら覚える。それでもかつてのポリーニの完成度には及ばない(と思う)のだから、やはりポリーニはすごかった。

しかし、本当にいいのはこれですね。上原彩子さんのモーツァルト、ピアノ協奏曲第二十二番(終楽章)。指揮はファビオ・ルイジ、ウィーン・フィル。上原さんは同郷の人で、地元での演奏会にも行ったことがある。その時はプロコフィエフをバリバリ弾いていたのが印象的だったが、このモーツァルトはどうだ。何とも名演ではないですか! こんないいピアニストになっていたとは。CDとか、出ているのかなあ。