吉田伸夫『明解 量子重力理論入門』

晴。

吉田伸夫『明解 量子重力理論入門』読了。量子重力理論を本気でやろうとすると、これはそう簡単なことではない。少なくとも大学院レヴェルの知識が必要となる。本書は、そこまでの実力はないまでも、一般概説書では満足できない人のために、学部学生レヴェルの数式で、量子重力理論のさわりを解説したものである。いやこれ、何となく解った気にさせようという本で、自分にはとても面白かった。始めの方の、経路積分による場の量子化の直感的説明は実際にありがたかったし、ループ量子重力理論や超ひも理論も、雰囲気的にではあるが数式で解説されており、そのあたりの機微がツボに嵌ってくる。学部学生あたり、お薦めだ。
 それから、最近はあまり自然科学の本を読んでいなかったので、否応なく気づかされたのだが、人文・社会学の特徴は背後に複雑さが存在しているのに対し、自然科学というのは、複雑な事象の背後に単純な秩序を仮定していくところが、人文・社会学と大きく違う。だから、頭の使い方が、両者ではだいぶ違うということになる。

明解量子重力理論入門 (KS物理専門書)

明解量子重力理論入門 (KS物理専門書)