大阪中之島美術館の「佐伯祐三 自画像としての風景」展と国立国際美術館の「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」

乗り鉄」も含めて、大阪までいって美術展を観てきました。
 
自宅を7:10に出て、岐阜駅近くのコインパーキングに車を置いておく。

JR岐阜駅。早めに着いたので、予定よりひとつ前の7:45岐阜駅発米原行に乗る。大垣から米原までは、車窓風景が田舎でいいのだが、窓ガラスがだいぶ薄汚れていて残念。JR東海は、お金があるのでそういうところに鈍感な気もする。米原で乗り換え、8:48姫路行に乗ってぼーっとします。車内は結構混んでいる。10:13大阪着。2時間半くらい外を見たり、ぼーっとしたり、とてもいい感じ。
 
スマホとかもっていないので、大阪駅で地図を頭に叩き込んで、中之島まで歩く。

大阪駅周辺は、平凡なモダニズムの世界。

渡辺橋から。渡って右へ折れる。
 
川沿いをしばらく歩くと、左手に大阪中之島美術館が。

佐伯祐三 自画像としての風景」展。1800円。国立国際美術館とどちらを先にしようか迷ったが、佐伯祐三を先にした方がよいのではと考える。大阪中之島美術館は昨年オープンした新しい美術館で、中はなかなかいい雰囲気。さらっと観ようなどと思っていたのだが、150点近くもあって充実しており、堪能する。日本人の近代絵画は、皮膚感覚でわかるところがある。その当時、日本人というだけで、「田舎者」といっていい。そこもまた、わたしに親しい。

「郵便配達夫」(1928)。佐伯は1928年、30歳の若さでパリに客死した。

美術館内部。
バリー・フラナガンのうさぎ。
 
ついで、となりの国立国際美術館へ移動する。

建物としては、外も内もちょっとダサい感じ(設計者はシーザー・ペリ)。「ピカソとその時代」展は2100円。これはベルリン国立ベルクグリューン美術館のコレクションで、たしか同美術館が改装中なため、貴重なコレクションが日本を巡回しているのだった筈。ピカソ、クレー、マティスジャコメッティあたりがガッツリ来ている。全体的に作品の質はとても高く、粒揃いという印象。ピカソもクレーも、わたしはまとめて観るのは初めてで、瞠目する。ただ、ピカソはその「核」のようなものがわたしの感受性の外にあり、知的な部分ばかり感受してしまって、画家としてざっくり受け止められなかったかも知れない。特にキュビズムの作品に関してそう感じた。ほんとうは、知的な操作性の奥に、獰猛な野蛮さがある筈なのだが。なお、キュビズムはブラックの作品も2点(だったかな)あって、これは貴重だった。

クレーは前から予想していたとおり、わたしに非常に合う。ほとんど歓喜せんばかり、ドキドキした。コレクションは質が高く、繰り返し観る。クレーは、個人的な、ヨーロッパ的なところが、そのままコスミックな領域に繋がっている感じ。いったい、この感性はどこからやってくるのか、知的なのだが、感性の純度が高い。抽象でもなく、具象でもない。天国にも、地獄にも繋がっているのかも。

(後記。上はクレーにしてはちょっと甘かったか。)会場をうろつきまわって、できるだけ何度もピカソとクレーを観る。この展覧会が近くでやっていたら、もう一度来るのに。
 コレクション展はメル・ボックナーなどを観るが、ベルクグリューン美術館の質の高い20世紀絵画をたくさん観たあとでは、気の抜けたことおびただしい。
 
観終わったらお昼すぎだった。あとは帰るだけ。

左は大阪中之島美術館。

帰りも同じ道を大阪駅まで、吉野家桜橋店にてさっさと昼食。13:00大阪発草津行に乗る、草津米原、大垣で乗り換え、15:52岐阜着。ずーっと車窓風景を観たり、ぼーっとしたりで3時間、壊れていた心がだいぶ回復したと思う。また絶対に「乗り鉄」しないとな、って思った。

途中で見た伊吹山、車窓から。