國分功一郎『目的への抵抗』

晴。ここ数日よりは涼しい。
昨晩は早く寝た。
 
昼からカルコスへ。土曜日で爽やかないい天気だからだろう、道が混んでいる。
 國分功一郎さんの新書新刊の案内を新聞で見たのだったが、首尾よくゲット。ちくま文庫新刊にレベッカ・ソルニットがあったので購入する。学芸文庫でジーン・シャープを買ったのだが、あれ、これ、以前に買わなかったか?(後記。既に10年前に買って読んでいた笑。) 岩波文庫に知らぬ間にブッツァーティの『タタール人の砂漠』が入っていた。あと、蓮實重彦の文庫本『齟齬の誘惑』を見つける。講談社学術文庫を買ったのはひさしぶり。
 今日は店頭でいろいろ見つけて買えたので、よかった。リアル書店なんだから、こういうことがないとね。それにしても、新書本など、読者のレヴェルを舐めくさった本が多いなとか思ってしまう。真実を知っているのは自分だけだと、いわんばかりの本たち。
 わたしは、買わなくなったから読めなくなったというところもあるな。でも、それだけじゃない、ほんと、本が読めない、わたしは壊れてしまっている。たぶん、壊れているのはわたしだけじゃない。
 
 
國分功一郎『目的への抵抗』読了。なかなかおもしろかった。若い人が読むといいと思うが、わたしのような老年が見えてきたおっさんが読んでもおもしろい。やっぱり國分さん、考える力があるな。優秀な人の思考の後ろに付いていく楽しみがある。でも、國分さんなら、そんなのは本当に自分で考えることではない、と仰るかも知れないが。

新潮新書で「シリーズ哲学講話」としてシリーズ化されるんだな。
 
蓮實重彦『齟齬の誘惑』を読み始める。


夜。
NHK+ で NHKスペシャル「証言ドキュメント 日銀“異次元緩和”の10年」を観る。めっちゃ悲しくなった。この番組でもそうだが、「デフレの方がよかった」という考えの問題あることはもはや常識化したと思う。黒田総裁の下の日銀は10年間必死で努力し、株価を上げ、円高を解消し、400万人の雇用を生み出すなど、成果は確実にあった。しかし、痛恨だったのは、二度にわたる消費増税。黒田総裁は、その影響を過小評価したところはあったかも知れない。
 そしてこの番組でよくわかったのが、日本人に染みついた「強いデフレマインド」。それは、日本人のいわば後ろ向きの心性で、経済的に徹底的に守りに入ってしまった。どれほど金利を下げ、市場に潤沢に資金を投入しようが、企業は設備投資を控え、内部留保を溜めるばかり。賃金は上がらず、そして消費は弱いまま。これで、日銀がいくら笛を吹こうが孤軍奮闘ということになった。これが払拭されるには、番組にもあったとおり、あと10年はかかるかも知れない。日本人がこれほどまでに後ろ向きになっているというか、経済的な自信を失っているというのが、この番組でわたしに強く思われたことである。結局リフレ政策は「人々の期待を変える」というのが本質であるから、それには確かに成功しなかったわけかも知れない。では、日銀はどうしたらよかったのか? わたしは、金融政策だけでやれることはやったと思う、それが素人としてこの番組を見ての感想だ。そして、敢ていえば、政府の財政政策には大きな問題があったと思える。