愛知県美術館で「岡本太郎展」を観る


愛知県美術館へ、「岡本太郎展」を観にいってきた。以前からずっと楽しみにしていたもの。国道22号で名古屋まで一時間あまりかかるので、わたしにとって運転は瞑想みたいなものだから、ベストコンディションという感じで展覧会に入れた。
 
会場に入ると、「えっ、人が多い」というのがまずは素朴な第一印象。岡本太郎、人気あるな。岡本太郎は書くものや言うことはすばらしいが、実作は(失笑)という浅田さんみたいな評価が結構あるので、どんなもんだろう、マンガみたいなものだろうかと期待していたわけだが、全部観て、とにかく「パワーありすぎでめっちゃ疲れた!!!」ってのが、幼稚ながら正直な感想である。現物は、予想をはるかに超えてなまなましい。岡本太郎自身が「芸術は呪術だ」ということをいっているそうであるが、とても分別ある言葉で表現できるような絵画(絵画が中心の展示だった)ではない。理性的な「言語=象徴」をとおして絵を観る人は、そりゃつまらないだろうな、というのがはっきりとわかる。太郎の「今日の芸術は、うまくあってはいけない。きれいであってはならない。ここちよくあってはならない」という言葉はよく知られているが、まさにそのとおり、趣味が最悪というか、人の感覚を逆なでしてくるというか、うまくもないし、きれいでもないし、ここちよくもない絵たちだ。だから、自分もだが、何のためにわざわざ岡本太郎なんか観にいくのか、ってことがある。これは、呪われた原始的な生命力でとりすまし白ちゃけた現代文明を根底から破壊していくようなもので、岡本太郎がそのまま正確に受け取られたら、そこにあるのは日常の崩壊と革命だろう。でも、そうはならないのは、僕たちの感受性がとことんにぶいからで、それだから美術館で爆発的な岡本太郎を体験したって、日常は滞りなく進んでいくのである。

ほぼすべての作品が撮影可能なので、SNS でも検索してもらえば観られるだろう。上はテキトーに撮った、人ごみの様子。
 
いつものごとくコメダ珈琲店春日店にて昼食。これもいつものごとく、ミックストースト+ブレンドコーヒー1160円。これでようやく一息つき、購入した展覧会カタログの文章を読む。帰りは名古屋江南線をずっと北上して、雨の中をゆっくりと帰宅。道道、ぼーっと展覧会についての感想を考えるともなく頭の中で転がしていた。運転は、瞑想みたいなものだから。