南直哉&玄侑宗久『同時代禅僧対談 <問い>の問答』

曇。

南直哉&玄侑宗久『同時代禅僧対談 <問い>の問答』読了。メタクソおもしろかった。何といっても南師だね。玄侑さんはわたしはもう長いこと読んできて、血肉にしたいと畏怖を以て尊敬しているが、南師はだいぶちがう感じ。仏教者なのにいわば「原理主義者」で、しかも言葉、観念の人という、わたしにはちょっと許し難いような人なのだが、いやあ、おもしろい。その「言葉の人」ってのがハンパないのだ。それが人間的存在感と一体化して、クセの強い、強烈な仏教になっている。そして永平寺で何十年も座ってきたという人だ。おもしろいなあ。玄侑さんは普段はやわらかい、常識的なところをよくわきまえたお坊さんだが、南師がもともと玄侑さんにある厳しいところを引き出してもいたり。全体の雰囲気としては、玄侑さんが話題を転換したところを南師がするどく踏み込み、そこを玄侑さんがやわらかくも丁々発止と対応していく感じか。やり取りは時に、現代には滅多にないほど深まっていく。そこが、いまでも日本仏教の野蛮に生きていることを確信させる。すばらしい「対談集」であった。

なお、この対談は東日本大震災の前になされたもので、震災後であれば、多少のニュアンスのちがいがあったかもとは思う。よいときになされたような気もする。

達人同士の対峙というとお互いに静かに動かない、というような(俗な)イメージがあるが、これはそんなものではない。お互いの刃は相手の肉どころか骨まで断とうとし、またみずからをも深く斬る。「防御」というものがまったくなく、壮絶というべきであろう。これぞ禅僧ではないか? 玄侑さんは、その体験を「遊戯(ゆげ)」と言語化しておられる。わたしのブログなどにこう書くと陳腐に響いてしまうけれども、まさにさもあらん、と。

しかし、わたしなんぞは仏教のほんの上ッつらしか知らないね。痛感させられる。

昼から珈琲工房ひぐち北一色店。『戦争は女の顔をしていない』の続き。とてもつらい。これがわたしの限界かと思うくらいで、喫茶店で読みながら涙が出そうになる。まあナイーブだなであり、あるいは女性の方が本書をクールに読めるのかも知れない。戦場における女性。前にも記したけれど、戦場で人を殺すということを、本書以上にはっきりと読んだことはかつてなかった。
 また、これを読んで現在のウクライナ戦争のことを思わないでいるのもむずかしい。わたしは「武力によるウクライナ人の抵抗」をはっきりと支持するものであるが、ロシア兵を憎んでいるわけでもないのだ。例えばウクライナ軍による SNS 投稿の動画を見て、ロシア軍の戦車の多数の残骸を目の当たりにすると、正直いって胸が痛む。わたしは、この感情を矛盾とは思わない。戦争というものは本当にイヤだと、つくづく思う。一方で、日本のネット等を見て「無抵抗主義」の言説を読んだりすると、観念遊戯だなと思わずにはいられない。これもわたしは、自分の矛盾とは思わない。「無抵抗主義」で自分だけが殺されるならそれもひとつの覚悟であるとは思うが、自分の家族、妻・子供たち(はわたしに実際にはいないが)、将来の同国人、自分の住む風土が蹂躙され、武力による暴力を許すということは、やはりわたしには許容できない気がする。もちろん、我が国が侵略されたとき自分が銃を取れるか、それはなってみないとわからないけれども。その時になって、自分に人が殺せるか、弱兵ゆえに無意味に早く死ぬのではないのか、それはやはりわからないのだ。しかし、いまウクライナで銃を取っている無名の人たちの「まっとうさ」は、無名の庶民としてわかっているつもりである。

本書に登場する女性たちの証言に、戦場に出てみて、自分の中には二つの自分があったといっているのが幾つもあった。これは想像力によってだが、わかる気がする。人間とは、そういうものなのだろうな。戦争はあまりに悲惨だ。

濱口先生のブログエントリを読んで、2020年、2021年にまとめてオーウェルを読んだことを思い返した。オーウェルは決して「純粋平和主義者」ではなく、実際にスペイン内戦に義勇兵として参加し、瀕死の重症を負っている。そして、ヒトラーのドイツ、スターリンソ連を絶対に許容しなかった。しかし彼の文章をきちんと読んだ人なら、彼が好戦的な人間であったどころか、「人間らしさ」(あるいは「まともさ」) decency の深い体現者であることを知っている筈である。オーウェルは、いまでも我々の読むべき存在である。

戦争は恐ろしい。わたしは殺すのも殺されるのもイヤだ。戦争が起きてほしくないと心の底から思う。一方で、観念遊戯に耽っている人たちも勘弁して欲しい。こういう人たちには、結局現実は他人事なのだ。

こんなことばかり考えていると、心の余裕がなくなるな。夜は下らないアニメでも観るか。

夜。
YouTube で SAO 動画(3期)を観る。「アリシゼーション」「アリシゼーションWOU」はいまいちと思っていたが、こうして観るとやっぱりおもしろいな。確かにキリト君、嫁が多すぎるが笑。

ついでにアインクラッド篇もダイジェストで観る。結局これがいちばん好きやね。