シェイクスピア『トロイラスとクレシダ』/彌永昌吉『数の体系(下)』

晴。
シェイクスピア『トロイラスとクレシダ』読了。トロイア戦争の傍系の物語で、『イーリアス』にはこれに対応するエピソードはない。解説によれば、このエピソードは十二世紀が発端で、十五世紀くらいまでに発展していったようである。シェイクスピアは、裏切りのクレシダを、原型の寡婦から未婚女性に変えているらしい。
 なお、松岡和子訳のシェイクスピアは初めて読んだが、これはなかなかいいのではないか。地口なども上手く訳してある印象だ。文庫版だし、全集を目指してマイナーな作品まで訳しているので、他のも読んでみたくなった。

彌永昌吉『数の体系(下)』にざっと目を通す。有理数を実数に拡張するのは、かなり面倒くさい。実際、有理数は簡単に整数(したがって自然数)と繋がるが、実数は「神秘的」な感じがする。例えば、有理数は稠密だが連結ではないのに、実数は連結である。有理数はスカスカなのだ。その「隙間」を埋めるのが面倒なのである。そうしないと、微積分もできない。いったん実数が構成できれば、複素数の構成はむずかしくないのだ。
数の体系 下 (岩波新書 黄版 43)

数の体系 下 (岩波新書 黄版 43)


複素関数の本を、手帳にメモしたりしつつ読む。複素平面での二点を通る直線の式を、複素数だけで書けるのかななど考える。特に意味がありそうもない試みだが。普通の平面で、ベクトルだけで直線の方程式を表わすのと同じだよね。パラメータを使えれば初歩的に簡単なのだが、それ無しでとか、本当に意味なしっぽい。
 二点を通るとか云わなければ、複素平面
   
は直線を表わす。(β=(p+iq)/2, z=x+iy とおくと px+qy+c=0 となる。)