ガーネット『狐になった奥様』/森谷公俊『アレクサンドロスとオリュンピアス』

雨のち曇。
ガーネット『狐になった奥様』読了。妻が突然狐になってしまった。それでも妻、いや雌狐を愛さずにはいられないデブリック氏の物語。佳品です。

狐になった奥様 (岩波文庫)

狐になった奥様 (岩波文庫)

森谷公俊『アレクサンドロスとオリュンピアス』読了。題は、アレクサンドロス大王とその母オリュンピアスのこと。アレクサンドロスはどうも「マザコン」だったようだ。オリュンピアスは後世のイメージは最悪だが、きちんと資料を読み込めば、彼女の立場として当り前のことをしただけだとわかる。(ただしもし、彼女の夫であり、大王の父であるフィリッポス二世の暗殺の背後にいたのが彼女なら、これは非道であると云われても仕方あるまい。)もっとも、大王は「マザコン」だったにせよ、さすがに母親の言う通りになるような人物ではなかった。
 問題は、大王の早世である。大王に関係のあった九人の女性たちは、消息がわからない一人を除いて、権力闘争の中で、すべて悲劇的な最後を遂げている。本書は、その顛末に詳しい。これが読ませるのであり、後は本書でどうぞ。