晴。
フローベール『ボヴァリー夫人(上)』読了。前にもちょっと書いたが、以前読んだのは中村光夫訳という特異なエディションだったので、オーソドックスな定評ある伊吹武彦訳で読んでみた。今となっては少し古びた日本語で訳されているが、素晴らしい。これなら、「今を生きる文章で」訳された新訳はいらないと思った。ただ、今では英文学の、中野好夫の名訳ですらわからない若い人が多いのだものなあ。ライトノベルや村上春樹ばかり読んでいれば、そうなっても仕方がないけれど。残念なことに、この岩波文庫版、活字がじつに細かい。そこだけは今の方がいいと思う。
話は周知のごとく、夢見る奥様の不倫物語。下らないといえばそうだが、これが近代小説の最高峰のひとつなのだ。とにかく描写を見て欲しい。これこそ、残酷なほどのリアリズム。
- 作者: フローベール,伊吹武彦
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1960/06/25
- メディア: 文庫
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