高橋源一郎『ニッポンの小説』/山崎ナオコーラ『浮世でランチ』/羽海野チカ『3月のライオン』第七巻

曇。
高橋源一郎『ニッポンの小説』読了。誰もが馬鹿にする高橋源一郎さんだが、僕は彼の書くものが好きだ。文庫本が出たら、たいていは買う(単行本で買わなくて御免なさい)。本当におもしろいから。
 というような素朴な賛辞では、源一郎さんには相応しくないのかも知れない。源一郎さんは、今でも(もはや死語だが)「前衛」だから。この言葉はいま発するとそれだけで時代遅れ、過去の遺物と見做されてしまうけれど、別に構わない。でも、そんなこともどうでもいい。
 周知の通り、源一郎さんは「文学」や「小説」ということに拘る。そこが古いとされる所以である。しかし、源一郎さんのいう「小説」は、我々の精神の奥深いところに関係したものである。現代に生きている以上、誰もそこから免れることはできない。例えば、小説は散文で書く。しかしその散文というものは、ひとつの「制度」(という言葉を源一郎さんが使っているわけではないが)なのだ。現代の我々の生は、「散文」に規定されているのだ。「文学」や「小説」が時代遅れになったと云っても、我々がそこから自由になったわけではない。ただそのことを、隠蔽しているだけのことである。
 そう考えると、源一郎さんが詩に拘泥するのもわかるような気がする。詩というのはわからなくてもいい、というよりは、わからない方がいいらしい。ただそれは、デタラメに書けばいいと云うわけでもない。何か、散文から自由を奪回せねばならぬものである。ああ、もっと詩を読もう。これでは自分は貧しすぎる。

ニッポンの小説―百年の孤独 (ちくま文庫)

ニッポンの小説―百年の孤独 (ちくま文庫)

山崎ナオコーラ『浮世でランチ』読了。
浮世でランチ (河出文庫)

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羽海野チカ3月のライオン』第七巻読了。いやあ、素晴らしい。こういう凄いマンガを読んでいると、今の中途半端な文学では到底太刀打ちできないなと思う。才能がこちらの分野に行っているのだな。で、ひなちゃんよかったですね。そしていよいよ宗谷名人との対戦かあ。わくわくするなあ。早く次巻が出てほしいです。
3月のライオン 7 (ヤングアニマルコミックス)

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真野恵里菜(ってよく知らないのだが)の『More Friends Over』を聴いてみました。結構いいね。歌謡曲っぽい曲がいい。いろいろ気付かされることもあった。
More Friends Over

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