福田和也『昭和天皇 第三部』

日曜日。雨。
カルコス。
福田和也昭和天皇 第三部』読了。時代はようやく昭和に入る。著者は昭和天皇を「彼の人」と呼んでいるが、その昭和天皇はあまりはっきりとした像を結ばない。むしろ、同時代の政治の動きや文化について幅広い目配りが効いており、時代の雰囲気がよくわかる。また、著者の人物に対する評語は深さをもっており、著者の全人格が賭けられている。少なくとも、現代の政界、財界の人物たちよりは、この時代の人物は大きかった。もちろん、そうでなければ国が立ち行かなくなってしまうという危機感が、傑物たちを生んできたという面もあるだろうが。それにしても、精神の深さというのは、いったい何なのだろうか。