晴。寒いので、夕食はおでん。
安達誠司『円高の正体』読了。基本的にリフレ派の視点で書かれた本。つまり円高とデフレは関係があるのだが、その為替相場の変化の原因というのは、これまで素人を納得させる議論というものは管見に入らなかった。本書では、「為替レートは、2国における将来の物価についての予想の格差の変動によって動かされている」(p.133)と、はっきりと述べられてある。そこに至る議論は、少なくとも自分には納得のいくものだったし、ドル・円レートと修正ソロスチャートの関係を示すグラフは、確かにきれいに一致している。
そして大切なのは、経済に関する将来についての人々の「予想」が、経済の変動において重要だということである。経済が予想で動くというのは、我々の生活を見てみても当り前だといえばそうなのだが、実証的に言えるようになったのは最近のことである。それは経済学の敗北のように思う人もいるかもしれないが、実は逆だ。その人々の「予想」「予測」というのは、大きな集団で見れば、操作が可能であるからだ。例えば先日発表されたFRBのインフレターゲットの採用は、まさしく「予測」を操作しようとするものであり、また、日本では日銀の事実上の「デフレ容認」というやる気のなさが、デフレスパイラルを助長している原因にもなっている。
ちなみに、本書の論法で云えば、このアメリカのインフレターゲット政策がアメリカの予想インフレ率を上げれば、日本が何もしないとすると、結果的にドルは安くなり、円は高くなると云える。本書の云うとおり、「良い円高などない」とすれば、日本の状況はさらに悪化することになる。
最後になってしまったが、その「良い円高などない」というのは、本書の眼目のひとつである。円高のメリットを唱える議論に対し、それらが結局は間違っていることを本書はきちんと論証しているので、そこも是非読んでみていただきたい。
- 作者: 安達誠司
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- 作者: 谷崎松子
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カラヤンの指揮する、オネゲルの交響曲第二番、第三番「典礼風」を聴く。オネゲルを聴くのは、実質上(というのは、十代のときに、NHK-FMで一度オネゲルを聴いたことだけは覚えているので)初めてである。気に入った。うまく形容するのはむずかしいのだが、極めて美しい部分(とりわけ弦)と、荒々しい部分の双方ををもつ音楽とでも、云えるだろうか。特に第三番の第二楽章(「深き淵より」)は素晴らしい。
ちなみに、おまけでストラヴィンスキーの「弦楽オーケストラのための協奏曲」が収録されているが、オネゲルの後では詰まらなかった。
- アーティスト: ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団,オネゲル,ストラヴィンスキー,カラヤン(ヘルベルト・フォン),ベゼニック(フリッツ)
- 出版社/メーカー: ポリドール
- 発売日: 1996/10/02
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