伊藤和行『ガリレオ』

晴。
音楽を聴く。■ミヨー:家庭のミューズop.245(タロー)。■オネゲルヴィオラソナタH.28、ヴァイオリンとチェロとピアノのためのトリオH.214〜アレグロオネゲルは自分と相性がよい。ヴィオラソナタはいい曲。

伊藤和行ガリレオ』読了。本書はガリレオの活動を、彼のいちばん活躍した時代、望遠鏡の制作とそれによる天体観測に絞って、丁寧に記述したものである。それは、ガリレオの新しさが最も明らかに出ていた時代だと云えよう。これらの活動により、ガリレオは「最初の科学者」と云うことができるのである。世界の記述を、思弁的哲学・神学にではなく、実験と観察によって行うこと。それがガリレオのやったことであった。具体的なことを云うと、ガリレオの発見で画期的だったのは、木星の衛星の発見だった。これにより、ガリレオは「太陽中心説」の正しさを確信することになる。またこれこそが、ガリレオの名声を高めたのであった。
 なお、現代でも特に物理学を知っている人間ほど、「地球中心説」と「太陽中心説」は同等であると公言する者がいるが、これは正しくない。ガリレオが気づいたように、地球中心説では、金星の満ち欠けの正しいあり方が、説明できないのである(なお、ティコの折衷説では、一応説明は可能であるが)。また、地球中心説では、惑星間の相対的な距離を決定できない。これらには、注意が必要である。
 本書は歴史書であるが、きちんと物理学を学んだ方の研究なので、物理学的にあやしいところはないし、実際自分の知らないことが多かった。一般の人が読んでも、面白い本だと思う。


音楽を聴く。■シャイーの指揮するベートーヴェン交響曲第八番を聴こうとしたのだが、聴くに耐えなくて第一楽章の途中で止めた。せわしなくてデリカシーもなく、スケールの大きさもベートーヴェンを演奏するレヴェルに達していない。シャイーよ、もっと精進が必要だな。次いで、第五番も聴いてみた。うん、軽量級ベートーヴェンではあるが、爽やかでいい演奏。普段は滅多に聴かない曲だが、「運命」交響曲って、やっぱりカッコいいね。この曲はシャイーに合っている。■シューベルト即興曲集op.142(ブレンデル)。さすがにブレンデルという演奏。特に第三楽章の変奏曲が素晴らしい。あわれな美しさに、胸を締め付けられるかのよう。ただ、終楽章はテンポが速すぎて、ブレンデルには珍しく空疎な演奏になっているのが残念。

日本の歴史認識に関して、こんなブログを見つけた。
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