『ゴンクールの日記(上)』

晴。溽い。夜中、強い雨
ゴンクールの日記(上)』読了。斎藤一郎編訳。とても面白く、抄訳が残念なほど。もちろん原文は知らないわけだが、熟れたような訳文は見事だ。ゴーチエ、サント=ブーヴ、フロベールジョルジュ・サンド、ゾラら、文学者たちとの交流はもちろん、弟のジュールの死、普仏戦争パリ・コミューン(兄エドモンは積極的に街路へ出て、見聞を日記に書いている)などの記事も興味深い。それにしても、これほど兄弟が一心同体だとは(女まで共有するのだ!)、ちょっと驚かされる。結構歳は離れているのに。それでいて、二人で一箇の文学者なのだ。こんな例は、世界文学史でもきわめて稀なことだろう。

ゴンクールの日記(上) (岩波文庫)

ゴンクールの日記(上) (岩波文庫)