ヴァレリー・ラルボー『A・O・バルナブース全集(上)』『(下)』

曇。のち雨。
大垣。
音楽を聴く。■ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第二十七番op.90(アラウ1966)。■ブラームス:ピアノ協奏曲第二番op.83(ブッフビンダー、アーノンクール)。最低限の演奏はしているが、曲を楽しむレヴェルにない。技術的にも苦しい。それにしても、むずかしい曲なんだなあ。テンションの高い曲なので、集中力を保つのが大変だろうと思う。

Brahms: The Piano Concertos / Buchbinder, Harnoncourt

Brahms: The Piano Concertos / Buchbinder, Harnoncourt

プーランク:チェロ・ソナタ他(ケラス、タロー、参照)。フランス組曲がいいな。

ヴァレリーラルボー『A・O・バルナブース全集(上)』読了。「日記」の部分が面白い。しかし、莫大な財産家が己の財を呪うとは、阿呆くさい話である。で、自分を人間扱いしない俗衆のことも酷く呪うとは、御苦労様なことだ。青臭いとしか云いようがない。そして、自分の教養と感受性を誇っているのだから、滑稽である。時代とともに文明はやはり進歩しているのであって、現代の貧乏人で彼以上の教養と感受性を持つ人間は、別にめずらしくないのではないか。それとも、ラルボーは百も承知で、本書のような人物を造形したのか。といって、本書がつまらないわけではないですよ。以下下巻。ヴァレリーラルボー『A・O・バルナブース全集(下)』読了。訳者解説を読むと、ラルボーはとても厳密な手法で散文を書くとのこと、これは翻訳ではわからないのかも知れない。あるいは、自分の散文に対する感受性が鈍いのかも。失礼だけれども、自分にはそれほどの訳文とは感じなかったが、それは程度問題で、訳文もこなれた、優れた日本語だと思う。で、『全集』の「日記」だが、日記の書き手が妻を持ち、精神的に成熟してきたことを思わせるところでお仕舞い。まあ、ありがちなラストだと思った。併録の「秘めやかな心の声…」は、いわゆる「意識の流れ」の手法を、ジョイスを知って間もなくに試みている作品。文学的には程度が高いのだろうが、自分にはいまひとつピンとこなかった。ラルボーは文学の上級者向けなのか? もちろんこれは、文学音痴の感想に過ぎません。ひとつ、自分で読んでみて判断して下さいな。岩波講座基礎数学「解析入門1」(小平邦彦)にざっと目を通す。