吉本さんと自然

日曜日。雨。
目覚ましをかけるのを忘れて寝坊する。10年くらい前のラブコメアニメのような、下らないちっぽけな夢を見る。アニソンのような、どうでもいい女性アイドルのそれのような、ポップな(?)歌が脳内に流れる。題は、「ラミネート・キッス💖」だ!(わけがわからない笑)なんなんだ、いったい。
 
スーパー。節分の歌が流れ、恵方巻の幟が立っている。
 
自然史過程。考えてみると、吉本さんに自然への感性がなかったわけではないのだろうけれど、ほとんど目立たないな。エコロジストをバカにしているとおり、例えば世界がすべて清潔な人工都市と化し、人間以外の動植物と関係が切れても、人間がいて、想像力による文化がありさえすれば充分だと、吉本さんは考えていたような気がする(いや、さすがにそれは言いすぎか)。その意味では、まさに都会人、東京人の典型だった。
 ああでも、吉本さんには猫との関係があったな。これも、都会人っぽい。都会人は猫が好きで、田舎者は犬が好きな感じがする、って、テキトーですけど。ちなみに、わたしは田舎者だが、どちらかというと猫が好きだ。猫派、というわけかな。
 
なぜかこのところ、初期のユーミンの曲を思い出す。今日も雨だが、「冷たい雨」(1979)が頭に浮かんできたり。バブル期に、マーケットリサーチとかをして曲を作っていた頃のは、全然好きじゃない。いまあの人、どうしているんだろう。
 少し前に観た『たまゆら OVA』の OP曲が「やさしさに包まれたなら」(1974)だったな。これはユーミン本人よりも、坂本真綾のカバーが耳になじんでしまった。。
やさしさに包まれたなら 坂本真綾 - YouTube
 
 
昼。曇。
NML で音楽を聴く。■モーツァルトのミサ曲ハ短調 K.427 で、指揮はヘルベルト・フォン・カラヤン、ウィーン楽友協会合唱団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団NML)。吉田秀和さん推奨の、カラヤンによる1981年の録音。わたしはガーディナーの(ピリオド楽器による)演奏になじんでいたので、モダン・オーケストラによる、それもレガートを多用した耽美的な演奏に、最初は違和感がありまくりだった。しかしまあ、何と美しいこと! これはモーツァルトではないと、わたしはいうことができない。それに、わたしを遥かに超えた、いや他のどんな指揮者よりも広大な射程で、Gloria の「Qui tollis…」などは、世界の終わりみたいなのを勝手に感じて、泣けてしかたがなかった。やはりカラヤンのような指揮者は、他に類例がまったくないことを痛感する。わたしはガーディナーの演奏の方が「正しい」とは思うが、この演奏も捨てるわけにはいかないのである。

 
武満 徹が残したものは - YouTube
武満さんが亡くなった直後の、NHK での追悼番組らしい。iPad mini で視聴。立花隆さんがナビゲーターなのだが、立花さん、じつに武満さんのことをよくわかっているな。僕は武満さん関係の仕事が、立花さんの最高傑作だと勝手に思っている。
 それにしても、あらためて思うが、武満さんは世界的超一流だったな。大江健三郎小澤征爾と共に、世界史レヴェルの存在だった。いまは、ああいう日本人はいない、少なくともわたしは知らない(またいつもと同じこと、いってるよ、わたしは)。まあ、タイプは全然ちがうが、中沢さんくらいのものだろうか。アホらしいことだけれど、クズとして忸怩たるものがある。
 武満さんのすごさは外国で理解されているほど、日本で知られていないと立花さんは言っているけれど、それはいまでも同じだとわたしは思う。
 
 
夜。
Daisy Holiday! 細野晴臣 中沢新一さん 2023 9 24 昭和のお話などなど - YouTube
えっ、中沢さんの『精神の考古学』、二月に出るのか。楽しみ! なんか、装丁をブライアン・イーノにするために遅れたって仰っていた。何じゃそりゃ。
 中沢さん、ずっとやってきた、大学の仕事を辞めたそう。大学はいいところもあるけれど、先生たちの間のマウンティングがすごいという。さもあらん。
 細野さんも中沢さんも、いま生きづらいっていってるな。こんな達人たちでもそうなのか。
 
 
『スキップとローファー』(2023)第6話まで観る。あー、刺さるなー。過疎地の神童だった、ちょっと「天然」の女の子が、東京の進学校で無意識に、周りを少しずつ変えていくというお話、でいいのかな。でまたまた、爽やかイケメンが出てくるってのがねー。しかしここまではラブコメ感は少なくて、故郷の過疎地(同級生も少ない)とはちがう複雑な人間関係と、美津未ちゃんの天然さに、ところどころで胸が苦しくなってくる感じ。恋愛の話は、さてようやくここからかなあ。
 OP も ED もよく、作画も含む P.A.WORKS の作りはじつにいい。この富山の制作会社、自分の好みだなあと思う。『色づく世界の明日から』はすばらしかったが、本作もセンスのよさが光る。