スタニスワフ・レム『完全な真空』

晴。
 
NML で音楽を聴く。■モーツァルトのピアノ協奏曲第二十三番 K.488 で、ピアノはダニエル・バレンボイムベルリン・フィルハーモニー管弦楽団NML)。ざっくり大ぶりに捉えて、おおらかに音楽を提示してみせる、さすがは現代の巨匠で、凡百の遠く及ぶところではない。ただ、いささか緊張感を欠くのも事実ではあるまいか。かのバレンボイムならテキトーにやってもこれくらいは軽く出来てしまうのであり、ベルリン・フィルと合わせて、いわば六割くらいの力しか出さずに楽々とやっている。それがいいという人もいるだろうが、わたしはちょっとナメられている感も覚えてしまった。それからとても忙しい人だから仕方がないかも知れないが、もしかしたらあんまりピアノの練習が出来ていないのではないか。まあ、そんなに気になるほどではないにせよ。

 
昼飯はゴボウとツナの炊き込みご飯、炒り豆腐、ラディッシュのぬか漬け、大根の味噌汁と、日本の田舎めしでうまかった。田舎者のわたくし。
 
avantgardey ってよく知らないけどおもしろいな。ダンスかー、いろいろ出てくんね。
youtu.be
 
暑くも寒くもない、ちょうどいい季節だ。ミスタードーナツ イオンモール各務原ショップ。もっちりフルーツスティック シナモン+ブレンドコーヒー462円。
 スタニスワフ・レム『完全な真空』の続きを読む。前に書いたようにわたしにはかなりむずかしい「小説」だが、頑張って読んでいるうちにだいぶレムの天才に慣れてきた。そうすると、小説の仕掛けとしては(わたしには)難解だが、この高度に知的な「遊び」がどこへ向かっているか、少し見えてくる。本書は「架空の書評集」という体裁であるが、個々の「書評」それぞれに、驚くべき SF的アイデアが盛り込まれている。今日読んだところだと、例えば「結婚相手は金で買えるが、相手を理想的パートナーとすることは金で買えない」というがごとき、それだけで充分追求できる真理から、コンピュータの「ラプラスの悪魔」的な計算によって、それを可能にしてしまうという企みとその帰結まで、「書評」として構想してしまう。また、我々が「確率的偶然的存在」であるという真理から、異様なユーモア(わたしは意味の擦り切れたこの語が好きではないが、ユーモア自体は好きだ)で我々を笑わせる。そう、この超むずかしい文章の帰結は、笑いなのだ。これこそが真の知性である。
 それにしても、ふだんのダラダラした凡庸なわたしが、こういう高度に知的で機敏な精神へ旅するというのは、何か不思議な体験だな。部屋で寝転がっているだけでは、特にここに書こうというものがない。わたしから遠い高度ないきいきした精神を注入していくというのは、何なのかわからないが、確かによいことであるように思える。別にそれで、頭がよくなったりとかはもちろんしないが、ほんの短い間だけでも、おおげさにいえば純粋に高揚することがある。
 
スタニスワフ・レム『完全な真空』(原著1971、邦訳単行本1989、文庫版2020)読了。堪能した。感想については個々に書いたので繰り返さない。訳者あとがきも秀逸だ。レムの他の小説も読んでみたくなった。『ソラリス』は高校生のときにたぶん読んだと思うんだけど、もう覚えていない。タルコフスキーの映画は一応観た。

 
 
夜。
たまゆら~hitotose~』(2011)第2話まで観る。ほんわり系?とでもいうか。これ、なかなかいいな。一気に観るような作品でもないね。ゆっくりいくか。第1話と第2話の間に OVA のエピソードが入ると。そういや OP曲、作曲がユーミンか。
 
トニカクカワイイSNS~』(2021)『トニカクカワイイ ~制服~』(2022)を観る。OVA 二作。アホくさくって可笑しい。こういうの、好きやな(ハズカシ笑)。2期も観る。