ムダに少子化を考える / 桑野隆『バフチン』 / 「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」(2021)を観る

晴のち曇。涼しい。
 
少子化の原因として、そもそも結婚しない、また、結婚しても子供を作らない、ということが考えられる。後者、「結婚しても子供を作らない」は経済的原因と、そうでないのに分けられる。経済的原因ならば、それを支援すればよい。また、そうでないとすれば、何が考えられるか。わたしは知らない。子育ては夫婦平等でおこなうべきだが、現実は妻の負担がいちじるしく大きくなるから、だろうか。女性は、そんなのゴメンであると。ま、いまフェミニズムとかで問題になっていることだから、そちらの進捗にまかせよう。
 前者、「そもそも結婚しない」のはなぜか。これも経済的原因とされているが、はたしてそうだろうか。かつて皆が貧しくとも、大部分の人が結婚していた時代はあった。また、経済的に苦しいなら、却って結婚した方が、楽に暮らせるということも考えられる。つまり、経済的原因は、大きくないようにわたしには思える。というか、結婚観の変化ということは、確実にあるだろう。つまり、「ある程度経済力の見通しがない限り、結婚しない」という結婚観への変化である。そんなのは、わざわざ政府が支援をしてやるようなことであろうか?
 しかしである。そんなことをいっても、政府ができることは経済的支援くらいしかないのも事実である。だから、倫理的問題や効果はいかにしもあれ、政府は経済的支援をするしかない。他に、いまのところ方策はなさそうである。
 それから、さらにそもそも、出会いがない、ということもあるといわれる。そうであろう、特にハラスメント概念の普及により「オフィス・ラブ」「職場恋愛」がむずかしくなった。また、現在、黙ってじっとしていては、王子様、お姫様はあらわれない。なので、いまではマッチングアプリによって結婚する割合がいちばん高くなった。しかし、これも政府がどうしようもないことであろう。
 それからさらにさらに、結婚しなくてもいい、結婚したくない、ということ。結婚しないということを、世間が許容するように時代が変化した。確かに、ひとりで暮らしたいという願望が認められるとか、好きでもない相手と結婚しなくてもすむというのは、ある意味ではよい変化のようにも思える。まあ当然これも、政府なんぞにはどうしようもない。
 ってわたしは何がいいたいかというと、政府が経済的対策を打っても、少子化にあまり効果はないのではないかしらんと、予測しているといいたい。でも、経済的対策を打つくらいしかあるまいということも、わかる。
 さて、ほんとうに少子化はいけないのか、という話がある。わたしは少なくとも、人口が減ることは必ずしも悪いことばかりではないと思っている。しかし、少なくなった人口が(若年層を中心に)都市に集中するのはあまり好みの未来ではないし、また、人口減はともかく、少子高齢化はやはり問題が多そうだ。ってね。
 

 
黒い蝶の羽がちぎれて庭に落ちていた。
 
昼からミスタードーナツ イオンモール各務原ショップ。フレンチクルーラーブレンドコーヒー429円。
桑野隆『バフチン』(元本2011)読了。ラブレーのところを読むと、カーニバルといい道化といい笑いといい、山口昌男だなと思う(しかし、山口昌男に「対話」ってのはあまりないかも知れない)。バフチンの大著『フランソワ・ラブレーの作品と中世・ルネサンスの民衆文化』、図書館にあるから、読んでみようかな。その前に、まずはラブレーを読むべきか。渡辺一夫先生の訳された岩波文庫版、学生のときに買ってそのままだ。たぶん、読むのはたいへんなんだよなあ。渡辺先生も、いまでは大江健三郎経由で思い出されるくらいなのだろうか。「ユマニスト」って単語も、あまり聞かなくなったよな。そういえば、渡辺先生の翻訳というと、フローベールの『聖アントワーヌの誘惑』も、書架の肥やしになっていて、まだ読んでいなかったっけ。

 
帰りに肉屋。豚バラとしょうが焼き用×2。
 
NML で音楽を聴く。■モーツァルトのピアノ協奏曲第十四番 K.449 で、ピアノはマリア・ジョアン・ピリス、指揮はクラウディオ・アバドウィーン・フィルハーモニー管弦楽団NML)。

 

 
夜。
『Vivy -Fluorite Eye’s Song-』(2021)第13話(最終話)まで観る。こんな悲しい作品は初めてだな。すべて短調で書かれているというか、悲しくない回がなかった。バッドエンドではかろうじてないけれど、終わり方は思うところがないでもない、これで AI と人間の共存が可能な筈がない。しかし、文句をいう気にもなれないので、最後(最終話Cパート)は実際には叶わなかった、誰かの「夢」と思うことにする。いい作品だった。いや、神アニメだったな。Vivy とキューブ型 AI マツモトとの関係性がとってもよかったな。途中からはそれが見どころのひとつだった。マツモトの最後の行動には泣かざるを得ない。作画は独特で、すばらしかった。主人公が歌姫 AI だけに、音楽にも力が入っていて、OP も ED も曲がよくマッチしていた、特に ED のピアノソロ曲は毎回じんときた。