こともなし

雨。
 
午前中、音楽でも聴こうかと思ったら、確定申告がわからんと老母がいう。ブラウザで国税庁の「確定申告書等作成コーナー」の入力はできた、しかし今年は印刷して郵送ではなく、マイナンバーカードを利用して、ネット経由で提出したいのだが、それがよくわからない、と。どうも、老母の Linux Mint + Firefox では、スマホ(カードリーダーとして使う)と連携できないようだ。仕方がないので、わたしの(普段は使わない) Windows10 + Google Chrome で、スマホと連携する。いろいろわかりにくいが、何とかデータ送信してお終い。来年からは、最初からスマホでやればいいんじゃないかということになる。
 
 
曇。昼から県営プール。もう一月もいっていないので、体に油を差しにいく。メンテナンスみたいなもの。意外に人が来ていたな、暖かくなったということか。
  
経済学者・猪木武徳先生の『地霊を訪ねる』を読み始める。副題「もうひとつの日本近代史」。わたしは『社会思想としてのクラシック音楽』で、そのクラシック音楽の造詣に感じ入って以来の先生のファンで、本書もその存在を知って直ちに入手した。日本各地を旅しながら、近代日本を考える旅行記的エッセイとでもいうもので、自分なりの「ブラタモリ」、また『街道をゆく』(司馬遼太郎)の試みだと仰る。まずはまことに文体が見事で、その本格的な教養が滲み出ており、いまではこのような立派な日本語が書ける学者はほとんどいなくなってしまったとつくづく思う。もっとも、冒頭から先生は福田恆存を引いて、知識だけの皮相な「教養」を難じておられるので、皮相な「教養」すらない我々は、いったいどうしたらよいのであろうか。まあ、それはともかく、碩学による歴史紀行というものは、なかなかないもので、ほんと(わたしの大好きな)『街道をゆく』の衣鉢を継いでいるといってもよい、心惹かれる書物になっている。本書はゆっくりと読みたい気分だ。

なお、カバー装画は川瀬巴水で、先日まとめて観てきたばかり。うれしい偶然だ。
 
夜。
トルコ・シリア地震の救援金を、少額だが日本赤十字社サイトから寄付する。