パラミタミュージアムへ「川瀬巴水展」を観に行く

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家族で三重県菰野町パラミタミュージアムへ、「川瀬巴水展」を観に行ってきた。パラミタミュージアム新名神菰野ICからすぐで、以前にも一度訪れたことがある。イオン関係者の美術館。
 
川瀬巴水は大正期から昭和の戦後すぐあたりまで活躍した版画家で、Wikipedia によると海外での評価が高い。風景を写した美しい版画で知られる。渡辺版画店の渡辺庄三郎と共に、いわゆる「新版画」を作り出した。わたしは江戸期の風景版画をよく知らないのだが、巴水は構図の切り取りが完全にモダンで、いまの我々の感覚と同じ、そこに既に西洋が入ってきている。また、情緒的な日本の美しい風景なのだが、名所の絵というよりは、特に何でもないちょっとした対象を多く選んでいるのも、たぶん江戸期の広重などはちがうのではないか。繊細ではあるが、一方でモダンで西洋的でもあり、いってみればいまの我々と似たような感覚で、「古き良き日本」が切り取られていて、海外で人気があるのもよくわかる。アップル創業者のスティーブ・ジョブズが巴水を収集していたのは有名な話らしい。
 巴水は大正の初期にメチエを確立すると、短い期間に、安定して高いレヴェルでたくさんの風景作品を作り上げている。わたしとしては、独特の空や水のブルーが印象的で、版画というのはこんなに美しい青を表現できるのだと驚かされた(わたしは青が好きなのである)。また、雨や雪の表現も印象的。青みがかった闇に沈む夜の景色も、版画ではあまりないように思う。今回は200点以上のたくさんの作品が観られたが、大部分が傑作といってよく、すべて観て正直いってかなり疲れた。マンネリだとか(わたしはまったくそうは思わないが)、広重の亜流だと批判されてスランプに陥って以降の作品は、作風が変わり、少し衰えたように思う。
 
詳述しないが、パラミタミュージアムは常設展示もなかなかおもしろいものをもっている。辻輝子の陶芸、1F廊下の中村晋也の彫刻などがわかりやすく見応えがある。メインの蒐集品である池田満寿夫の「般若心経シリーズ」は評価が分かれるところであろうが(モダンな眼にはゴミにしか映るまい)、中央アジアあたりの仏教美術の谺のような土くささがあるともいえるだろう。
 
昼食は近くの蕎麦「菊井」にて。わたしはふつうにざる蕎麦を頂きましたが、なかなかおいしゅうございました。
片道80kmで一時間あまり、一時半くらいに帰宅。いい天気でよかったです(風強し)。高速道路の高いところから見える景色(雪を頂いた鈴鹿山脈とか)もなんともきれいだった。パラミタミュージアム、次はヴラマンクが来るらしい。
 

 
夜。
NML で音楽を聴く。■バッハのヴァイオリン・ソナタ ホ短調 BWV1023 で、ヴァイオリンはレイチェル・ポッジャー、ヴィオラ・ダ・ガンバはジョナサン・マンソン、チェンバロトレヴァー・ピノック(NMLCD)。この曲、知らない。このレヴェルの曲でまだ未聴があるとは。
 
コードギアス 反逆のルルーシュ R2」(2008)第13話まで観る。2期。あいかわらずすごい引きの力だな…。