ハワード・W・フレンチ『中国第二の大陸 アフリカ』

曇。
 
スーパー。
 
昼寝。
 
カルコス。河出新書というのを二冊買う。高橋源一郎斎藤美奈子『この30年の小説、ぜんぶ』と、三中信宏『読書とは何か』。前者は店頭で見つけて買った。後者は著者のウェブ日記を読んでいるので、店頭にあったら買おうと思っていた。新書本のコーナーに長いこといたのであるが、わたしはもはやネットばかりなので、ネットとのギャップを感じて、それはそれなりに刺激的であった。読書能力の衰えがなければ、もっと新書本を買ったであろう。同時に、いつもながらの、本屋での気のふさぎ。
 福田和也の『教養脳』は立ち読みして、買うかどうか迷った。腐った題名だが、本格的な批評本である。しかし、大変な実力者だけれども、何だか福田和也はもういいかなという感じがして、結局買わなかった。
 平日昼間のせいか、駐車場はガラガラだった。
 
そうそう、集英社文庫だったかな、ちょっとうろ覚えだが(後記:ぐぐってみたら、たぶん講談社文庫だ。もうだいぶ前からなのだな、気づかなかった)、文庫本新刊がビニールでラップして売られていた。文庫本も立ち読みが禁じられる時代になったか。リアル書店を訪れる意味がまたひとつ減ったな。
 

 
図書館から借りてきた、ハワード・W・フレンチ『中国第二の大陸 アフリカ』読了。副題「一〇〇万の移民が築く新たな帝国」。ゆたさんに勧められた本。おもしろかったが、どう感想を書いたものか。中国政府がアフリカを重視しているのはよく知られたことである。本書は、中国政府の意向とはあまり関係なく、個人でアフリカに金儲けのため来ている多くの中国人がいることを活写している。彼ら彼女らは大概が中国の田舎から、個人としてチャンスを掴むためにアフリカに来ているのだ。しかし、中国政府への不満をぶちまけたりしながらも、彼ら彼女らが本当に中国政府と関係がないのかは、グレーである。明らかに中国政府の意向でやっている中国人たちもいる。アフリカ人は怠け者だと見下しながら、アフリカの政府関係者と癒着し、天然資源その他を根こそぎ強奪してゆく。欧米諸国も、似たようなもので、ただ、中国人の方がうまくやっているように見える。本書で中国人のよく言う、「ウィン・ウィンの関係」というのは興味深い。そういっておいて、強奪するのだ。
 アフリカの国家のほとんどは、いわゆる「国民国家(ネーション=ステート)」ではない。西欧の植民地として大陸を分割して出来た国々は、歴史が浅く、国民はネーションの一員であるという自覚に乏しい。しかも民主国家が少なく、政治家・政府関係者は当然のように不正(先進国国家・企業との癒着)によって膨大に蓄財する。それは欧米が散々進めてきたことであり、中国は同じことを、もっと巧妙にやっているといえる。
 と、本書を読むとそんな感想になったのだが、さて、現実はどうなのだろう。わたしは、アフリカへの「開発援助」の実態を、自分の目で見たことはない。少ない量の活字からの管見で、多少知っている気になっているだけだ。日本もまたアフリカの「開発援助」をやっているが、本書で日本の存在感はゼロなので、日本がやっていることもよく知らない。本書が正しければ、アフリカがいま現在においても強奪されているのは明白だが、それはまた「事の必然」とも考えられるのであり、それをさらにどう考えるべきなのか、わたしごときにはわからないという他ない。

 
 

 
時計が0時を回ってから、『この30年の小説、ぜんぶ』を読み始める。2011年から2021年までの対談のコンピレーション(すべての年が網羅されているわけではない)。おもしろくないことはないが、読むのがとても苦痛。