川上未映子『安心毛布』

晴。
朝寝坊。早く起きたのだが、また寝ちゃった。
週一度程度の更新を楽しみにしているブログが早く更新されると、何となくラッキーなように感じる。速達で届いたかの如く。
音楽を聴く。■ドビュッシー前奏曲集第二巻(ワルターギーゼキング参照)。何というむずかしい曲。これも聴くに困難な曲のひとつだ。むずかしいのに魅力的なので、困ってしまう。

図書館から借りてきた、川上未映子『安心毛布』読了。ウェブ連載のエッセイたちを単行本化したもの。川上未映子の独特の感性にはいつも感心する。どこかに痛々しいまでに敏感なセンサーがあって、いつも世界に驚いている感じがいい。こんなに敏感で、たぶん当人にはそれでつらいこともあると想像するけれど、それでも何だか頑張っている。才能(こういうのを才能という)がある人は、それはそれで大変だ。で、川上未映子のエッセイ集には、さすがは関西人というべきなのか、笑えるところがどこかにあるのだよね。本書の彼女は妊娠で大変そうで、さすがに笑えるところはないかなと思って読んでいたのだが、「お料理地獄」でやはり笑わせてくれました。そんなにお料理、大変ですか。まあこの人だからなあ。そういえば、友達から「恋愛音痴」って言われるエッセイがあるけれど、この人らしい。自分の世界にイケメンはいないとか、すごい女性でそりゃさすがに変っていると言うしかない。まあ僕も彼女とはちがうけれど似たようなところがあって、自分の世界にかわいい女の子は居るけれど、かわいい女の子しか居なくて、そんなにセックスしたいとも(あまり)思わない(ちょっとは思う)。いまの「サトリ世代」ってわけでもないと思うが、もうおじさんでパワーがないのかも。脂ぎった中年のオヤジ(どういう日本語だ)とか、何かすごいと思う。フランス人みたいに肉食獣でないと、のべつまくなしに恋愛なんかしていられない。どうでもいいことを書きました。

安心毛布

安心毛布


吉田美奈子を聴く。
あんまりにベタな評だけれど、カッコいいとしか言いようがない。同時代で聴くチャンスはなかったわけではないだろうが(当時中学生)、聴いてもたぶんわからなかっただろうな。いまようやくわかってきた感じ。ファンキーなのだけでなく、スローな、センチメンタルな曲も大好きだ。これが僕の東京というものがあるとすれば、こういうのがそれなのだろう。
モンスター・イン・タウン

モンスター・イン・タウン



エレーヌ・グリモーによる、ブラームスのピアノ協奏曲第一番 op.15。グリモーのピアノはじつにマッシヴ。豪快な演奏だ。この曲はペラペラの軽いピアノではダメなのだが、グリモーにはぴったり。特に終楽章はいきなり速めのテンポで、どうなることかと思ったが、ちょっと乱暴なところはあったけれど、惹かれた。パワー系のピアニストという感じ。この曲は男のロマンティシズムというようなものだが、女性でこういう演奏ができるのはグリモーくらいかも知れない。ちなみにグリモーは言わずと知れた美人で、エモーショナルな部分など見ていてあやしい気分になってくるので、あっちを向いて聴いていました(笑)。



シューマンピアノ五重奏曲 op.44。エレーヌ・グリモールノー・カピュソン、庄司紗矢香、ラーシュ・アネルス・トムテル、ミッシャ・マイスキーという豪華メンバーで、素晴らしい演奏です。CD化できるレヴェル。このメンバーで、ブラームスピアノ五重奏曲も聴いてみたい。

庄司紗矢香のヴァイオリンによる、シベリウスのヴァイオリン協奏曲 op.47。僕は庄司紗矢香ってよく知らなかったけれど、天才ではないか! すぐにチョン・キョンファを思い出した。ただしチョン・キョンファが炎のようなヴァイオリニストであるとすれば、庄司はずっとクールである。それにしても、庄司のヴァイオリンの何という存在感、僕の聴いた中では、これまでこれ以上のシベリウスはない。この終楽章に感動しない人間がいるとは、ちょっと信じられないくらいである。残念なのは、オケが悪いのかコリン・デイヴィスの指揮が悪いのか、それとも録音が悪いのか、オーケストラにコクがまったくない、なさけない出来であること。庄司のヴァイオリンだけ、孤軍奮闘している感じだ。しかし庄司紗矢香、いったいこのとき何歳ですか。子供にしか見えないのだが。
もう You Tube を聴いているとキリがない。何でもあるのだものなあ。
※追記。上のシューマンピアノ五重奏曲の演奏は DVD になっていました。納得。
Verbier Festival: Highlights 2007 [DVD] [Import]

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