山田稔『特別な一日』/穂村弘『短歌の友人』

晴。
音楽を聴く。■ヤナーチェク:ピアノ・ソナタ1905年10月1日「街頭から」、霧の中で、コンチェルティーノ、カプリッチョ(フィルクスニー)。見事な演奏。■モーツァルト:ピアノ・ソナタ第一番(ピリス新盤)。■シェーンベルク浄夜op.4 (ブーレーズ)。アンサンブル・アンテルコンタンポランの弦楽六重奏による演奏は、まるでジュリアードSQをさらにハード・エッジにしたようなドライなものだが、これが強烈なのだ。曲の構造が、レントゲンを掛けたみたいにくっきり見えている。しかし、それなのに、後期ロマン派の崩壊点の、何という美しさ! 感覚的にも思わず感動できる演奏だ。シェーンベルクは、凄い作曲家だった。

ヤナーチェク:ピアノ作品集

ヤナーチェク:ピアノ作品集

PIERRE BOULEZ CONDUCTS SC

PIERRE BOULEZ CONDUCTS SC


図書館から借りてきた、山田稔特別な一日』読了。随筆集。前に読んだ文章も少なくなかったが、それも含めて味わい深く読んだ。山田稔は現代における、稀な散文の名手である。特に「わがオーウェル」には感銘を受けた。自分もかつて、初めは語学の勉強のつもりで集中的にオーウェルを読んだことがあるので、それをつらつら思い出した。政治的なことを書きながら、水晶のような透明な散文だった。開高健が「正直オーウェル」と評していたことが思い出される。
 と書いたら、じつは本書は前にも読んでいたのだ。山田稔的展開である。感動しているところも一緒。そして、前書いた感想のほうが出来がいいんじゃね。
特別な一日―読書漫録 (平凡社ライブラリー)

特別な一日―読書漫録 (平凡社ライブラリー)

穂村弘『短歌の友人』読了。短歌論集。中身については、高橋源一郎氏の文庫解説を読んでいただきたい。一読、天才っているのだなあと思う。そして、柔らかい文章から硬い文章(この硬い文章も読ませるのだ)まで、(芸のない言い方だが)おもしろいとしか云いようがない。現代短歌ってこんなに魅力的なのか!
 それにしても、穂村さんの詩集も、エッセイ集も、そして評論も読んだが、肝心の歌集を読んでいないのだ。やはり歌集などは、そう簡単に文庫化されぬか。もうこれは、単行本で買うしかない。
短歌の友人 (河出文庫)

短歌の友人 (河出文庫)