村上春樹『古くて素敵なクラシック・レコードたち』 / 『山田稔 自選集 I』

晴。いい天気。

昼食にパスタの予定が、茹でる量が足りなかったので、近所のドラッグストアへ買いに行く。

NML で音楽を聴く。■ブラームスクラリネットソナタ第二番 op.120-2 で、クラリネットはアンソニー・マクギル、ピアノはグロリア・チエン(NML)。特に大した演奏とも思えないが、何となく聴いてしまう。

 
■バッハのフランス組曲第三番 BWV814 で、ピアノはアンドレイ・ガヴリーロフNML)。ガヴリーロフのフランス組曲はEMI盤のCDをもっていて、時々聴いたものだが、このDG盤は再録音なのだな。ガヴリーロフは圧倒的な射程をもつピアニストであるが、その点にちがいはないけれど、こちらDG盤の方が、より肩の力が抜けている感じ。ひと言でいうと、「ピアノによる甘いフランス組曲」というようなもので、わたしはこうしたアプローチが大好きだ。フランス組曲自体が、バッハの曲集の中では、軽めで優雅なそれだから。ガヴリーロフは偉大なピアニストという範疇に入る、あるいは芸術家という言葉の似合う、最後に近い演奏家かも知れないな。このように(音色も含めた)スタイルをはっきりもったピアニストは、いまでは非常に少なくなった。
バッハ:フランス組曲(全6曲)

バッハ:フランス組曲(全6曲)

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昼から珈琲工房ひぐち北一色店。図書館から借りてきた、村上春樹『古くて素敵なクラシック・レコードたち』読了。文章のうまさにほとほと感心する。ほぼ100曲を選んで、それぞれの曲についてレコードを何枚かピックアップし、語るというスタイルで、長丁場であるが、滞ることなくすらすらと読んでいけるのがすごい。我々凡人だと、10曲くらいで形容の言葉が尽きてしまうだろう。村上春樹の散文はクリシェ、凡庸さを避けないが、これは真の散文家にしか不可能である(澁澤龍彦クリシェの使い方がうまかった)。村上春樹の著作の数は膨大だけれど、これだけ文章がうまければつい書きたくなるよね。
 村上が「よく聴けている」というのは前にも書いたので繰り返さない。これだけ聴く力があれば、聴いていて楽しいだろう。
 本書の〆は「若き日の小澤征爾」であるが、読んでいてジーンとしてしまい、しばらく余韻に浸った。わたしの指揮者が小澤征爾というのは前に書いたけれども、村上に比べたら全然聴いていないやと思う。ほんと、よく聴いているなあ。

 
肉屋。

夜。
図書館から借りてきた、『山田稔 自選集 I』読了。

 
フーコー文学講義』を読み始める。