浅羽通明『教養論ノート』

晴。
大垣。BOOK OFF大垣バイパス店。24冊買う。ちくま文庫宮沢賢治全集(さほど安くはなかった。まあ妥当な値段)など。
 車内ではずっと坂本龍一のベスト盤を聴いていた。今さら云うのも気がひけるが、坂本龍一ってやはり凄い才能の持ち主ですね。世界的に見てもそうだと思う。

浅羽通明『教養論ノート』読了。原本は二〇〇〇年刊。「哲学」とか「教養」とか、(懐かしい言い回しだが)「知」だとかに、とことん拘ってみた本だ。若い人が今初めて本書を読んだら、どうして著者がこんなことに拘っているのか、わからないのではないか。著者は「おたく」という存在を徹底して軽蔑して見せるが、さて、今ではそういうスタンスは肯定されるであろうか。著者から見れば、僕なども「おたく」に類別されるのであろう。残念なことである。
 そう、敢て書いておこうか。著者は、(堅い)本などを読むのは一部の人間だ、というようなことを繰り返し述べるが、僕に云わせれば、たとえそれが真実であろうが、「本」を読まないというのはそれだけで間違っているのである。現代にあっては、世界的に見ても、そうでないような場所はほとんどない。それは、人間にとって「言葉」というものは本質的な存在だからである。本が存在する以前は、それが取って代わることになったところの或る種の精神活動がどこでも存在したのだが、今は世界のほとんどの場所でそれは滅びた。だから、今では「本」を読むしかない。ゆえに、大衆(僕もその一員である)であろうが何であろうが、「本」を読まないのは間違っているのだ。というのが僕の実感である。
 では、どんな「本」を読めばいいのか。まあ、だいたいは何でもいいのである。もちろん、本書でもいい。ということで、本書を読みましょう。

教養論ノート (リーダーズノート新書 S 302)

教養論ノート (リーダーズノート新書 S 302)


音楽を聴く。■大澤壽人:ピアノ協奏曲第三番「神風協奏曲」(ナクソス盤、参照)。これは傑作と云っていい。わかりやすさと前衛が上手くミックスされている。なお、「神風」は特攻隊のそれではなく、朝日新聞社のイベントに使われた飛行機の名前(Wikipedia)。