太田浩一『電磁気学の基礎1』

晴。
太田浩一電磁気学の基礎1』にざっと目を通したが、これは熟読に値する本だ。「基礎」とはあるが、初めて電磁気学を学ぶ人にはレヴェルが高いかも知れない。ただし、とても丁寧に書かれた本なので、ある程度の基礎知識があれば、きちんと理解できそうだ。著者は電磁気学の発展史の詳細を知っておられるので、細部もたいへん示唆に富む。例えば、電場Eや磁場Bを基本的な場の量として、DやHをほとんど使わなかったり、慣習的な法則名の名付けの根拠のなさや、用語の不適切さの指摘は鋭い。纏めて云えば、本書は、本格的な電磁気学の教科書として丁寧に書かれ、この学の奥の深さを充分に教えてくれるものと云えるだろう。
 それにしても、著者は頭のいい方だ。これは、初歩的なところを親切に書く能力(これは、著者が学を深く理解していることに拠る)と、高度に錯綜した部分をわかりやすく解きほぐす能力の両面を兼ね備えておられる、という意味である。本書の内容が充分理解できるといいなあと思わずにはいられない。第二巻も続けて読もう。

電磁気学の基礎〈1〉

電磁気学の基礎〈1〉

仕事の空き時間に、ところどころ精読してみる。やはり間違いなくいい本だ。これだけ丁寧に書いてあれば、自分などでも読み解けそうである。