町田康『権現の踊り子』

晴。
町田康権現の踊り子』読了。町田康最初期の短篇集であり、まだ小説に慣れていないところもあるが、それにしても「ふくみ笑い」は、短篇ながら途轍もないエネルギーを蔵しているではないか。その混沌ぶりは、後の大傑作『パンク侍、斬られて候』を思わせる。水戸黄門をパロディにした「逆水戸」もいいねえ。しかし、文庫解説(?)の、玄侑宗久の切れっぷりはどうだろう。本作は是非文庫版をお読みください。

権現の踊り子 (講談社文庫)

権現の踊り子 (講談社文庫)


先日、ラフマニノフのピアノ協奏曲第三番の、ブロンフマンゲルギエフのコンビでの名演を聴いたので、ホロヴィッツ盤を聴いてみた。結論を云うと、ブロンフマンの演奏の評価が高くなりましたね。じつに正攻法の名演になっていると思う。ホロヴィッツ盤は、やはり彼の個性が相当に強い。もちろん、これはこれで凄まじい演奏なのであるが。それから、指揮のライナーがゲルギエフほどでない。オケも VPOの方が上手い。ただ、音はホロヴィッツ。これは誰も真似できない。で、後でブロンフマンの演奏をまた一部聴いてみようと思っている。
20世紀の偉大なるピアニストたち

20世紀の偉大なるピアニストたち

終楽章を中心に、ブロンフマンの演奏を聴き直してみた。確かに「伝説的名演」といわれてもおかしくない演奏だ。ライヴの熱さもあるし。しかし、何というベタな演奏。いい意味で、聴いていて疲労感は否めない。これでピアノの音がもっと硬質だったら! 七〇年代のポリーニの演奏で聴いてみたかったなあ… (絶対にあり得ないけれど。)
 いろいろウェブを飛び回っていたら、芥川也寸志の「弦楽のための三章『トリプティーク』」の動画を発見(ソースはここ)。指揮はなんとゲルギエフ、オケはNHK交響楽団。泥臭い曲だけれど、力強いとも云える。日本人だって、そんなに悪くない曲も書いているのだよ、と。