『大乗仏典15 世親論集』/スルタノフというピアニスト

晴。
白内障の手術のため、父を病院まで送っていく。

『大乗仏典15 世親論集』読了。中公文庫「大乗仏典」シリーズで、唯一読み残していたもの。仏典の現代語訳は、どんどん文庫化して欲しい。これこそ出版文化に、いま必要なことだと思う。漢訳を現代語訳するのも、悪くないと思うのだが。必ずしもサンスクリット原典にこだわる必要はない。

大乗仏典〈15〉世親論集 (中公文庫)

大乗仏典〈15〉世親論集 (中公文庫)


音楽を聴く。■シューマン:ヴァオリン・ソナタ第一番op.105(ニコリッチ、ル・サージュ)。じつはクレーメルアルゲリッチの演奏を聴こうと思ったのだが、冒頭を聴いてどうも気分が乗らないので、こちらに替えてみた。これがおもしろいので、ちょっと驚く。クレーメルアルゲリッチモダニズムが、ピンとこなくなるとは。やはり二度目の認識論的切断が起きているのを実感する。中年になってからこうなるとは。あまりいい方向への変化とも思えないのだが、仕方がない。ニコリッチとル・サージュのデュオは、もちろん一流なのだが、クレーメルらのよりはだいぶ精度が甘い。それなのになあ。どういうことだろう。こちらが堕落したか。
アレクセイ・スルタノフの弾く、ラフマニノフエチュード・タブロー。骨太の素晴らしい演奏だ。以前ならこういうのはおもしろいと思ったかどうか。ところでこのピアニスト、自分より年下なのだが、もう亡くなっているらしい…

スルタノフだが、このスクリャービンエチュードも(音はちょっと悪いが)いい。スクリャービンラフマニノフを聴かせるというピアニストはいる。ホロヴィッツリヒテルはその典型。

リストのロ短調ソナタ。東京でのライブ録音で、ライブならではの凄まじい演奏が聴ける。まあ乱暴なところはあり、賛否は分かれそうだが、15分くらいのところでは、何か降りてきたものを感じた。最後は、曲が終わっても誰も拍手できない。彼は特徴あるピアニストであり、もっと聴いてみたかったと思う。早世は残念。(AM2:16)

アンコールのスクリャービン op.8-12。大阪でのライブ録音。

おまけ。スルタノフによる尾崎豊の編曲。