綿矢りさ『勝手にふるえてろ』

晴。
綿矢りさ勝手にふるえてろ』読了。仕事場で空き時間に読んでいたのだが、じつに面白かった。オジサンが云うのも何だが、著者の恋愛に対するスタンスが独特で、ちょっと若い頃のことを思い出してしまいましたよ。変な言い方になるが、著者の描く恋愛は、例えば少女漫画にはならないような気がする。身も蓋もないところがあるから。吉田修一ともちがうし、村上春樹ともちがう。小説で、こんなこと書いていいのか、と思わないでもない。でも、女性の読者からは反発を受けるかも。女の子にとっては、恋愛は理想と現実の相克だと思うのだが、そこらあたりが、やっぱり身も蓋もなく描かれているのだ。まあ、恋愛不適格者の妄言ですから、話半分に聞いておいて下さい。でも、本書が面白いことは、(たぶん?)保証する。
 それから、併録の「仲良くしようか」なのだけれど、流し読みしていたせいか、わけがわかりませんでした。ごめんなさい。著者は、とりあえず等身大の話を書いた方がいいと思う。それはいつかは行き詰まるだろうから、そこからが本当の勝負だろうな。才能はあると思います。

勝手にふるえてろ (文春文庫)

勝手にふるえてろ (文春文庫)


毎晩、夜は一杯やりながら気楽にすごしているのだが、心の底にモヤモヤした塊があるのが消えない。そこのところで、もうおばあさんになってきた母とまったく一致する。この国がダメになっていくことは、もう意識するまいとしているのだが、完全には忘却できない。「エコノミスト」誌の新聞広告で見たのだが、二〇五〇年に日本のGNPは、韓国の半分になると予想されているそうである。そんなこと知らないが、馬鹿馬鹿しいとも言えない。その頃、いま日本を代表する企業というのが壊滅していても、自分はまったく驚かない。これだけ政府や日銀がデタラメなことをやっていれば、その可能性は充分にある。増税法案が通過し、それを好感して株は上がったそうだが、やれやれである。もしかしたら、不勉強な自分の暗い予想は外れるのかも知れないと思って、自ら慰めている。いずれにせよ、やはりモヤモヤは消えない。