池田亀鑑『平安朝の生活と文学』/中沢新一『人類最古の哲学』

晴。暑い。
池田亀鑑『平安朝の生活と文学』読了。題名どおり、平安時代の(貴族の)生活を、文学作品などを手掛かりに、断章形式で述べたもの。じつに詳しく調べてあって、一種の辞書としても使えそうだ。

平安朝の生活と文学 (ちくま学芸文庫)

平安朝の生活と文学 (ちくま学芸文庫)

中沢新一『人類最古の哲学』再読。終章で、コンピュータ・テクノロジーと結びついた「神話的思考」の抜け殻が、ベニテングタケのもたらすような陶酔を引き起こす危険が述べられているが、まったく同感だ。視覚野に特化した、快感原則を満たすだけのヴァーチャルな体験は、麻薬のような魅力をもっている。これは一旦回路ができてしまえば、破壊しようとしても、それだけで危険なものなのだ(そして、残骸も役に立たない)。怖ろしいことである。陳腐な言い草かも知れないが、やはり「リアル」は大事なのだ。
人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ(1) (講談社選書メチエ)

人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ(1) (講談社選書メチエ)


グールドのピアノで、シェーンベルクを聴く。ピアノ・ソロのための全作品を聴いたが、洵に耽美的な演奏だ。特に、初期のop.11の三曲の美しさには、改めて撃たれた。新ウィーン楽派は皆そうだが、十二音技法ではない無調曲に、忘れがたい名品がある。もちろんop.25などは傑作なのだが。なお、op.33の二曲は、以前からよくわからない曲だ。作曲者の意図が見えにくい。
シェーンベルク作品集

シェーンベルク作品集