東浩紀、桜坂洋『キャラクターズ』/佐渡裕『僕はいかにして指揮者になったのか』

晴。大垣。
東浩紀と桜坂洋の共作『キャラクターズ』読了。小説。まさしく本書で言われているとおり、著者のひとりである東浩紀（が主人公である）始め、様々な固有名詞（つまり実名）がキャラとして消費されるところが面白い。そしてそれ以上のものではないと思うのだが、これは誤読だろうか？

キャラクターズ (河出文庫)

佐渡裕『僕はいかにして指揮者になったのか』読了。いや、とてもおもしろかったです。僕は佐渡さんの指揮する音楽を、CDでも、ましてや実演では聴いたことがなく、本書を「ブ」で買ったのもほとんど偶然の賜ですが、読んでみてよかったです。何とも熱い男。本書には繰り返し、自分は才能に満ち溢れているという話が出てきて、僕などはちょっと切なくなってしまうのですが、小澤征爾に見出され、晩年のバーンスタインにこよなく大切にされたエピソードを読むと、そのとおりなのだろうと確信されられてしまいます。バーンスタインと同じく、佐渡さんは実演の人で、録音には乗りにくい人なのかもしれないとも予想されますが、これは聴きたくなって来ました。それにしても、「才能」とは何だろうと、そんなことが頭に去来します。僕には、才能のない人間の身の処し方というものが、どうも気にかかるのですが。

僕はいかにして指揮者になったのか (新潮文庫)