田中健夫『倭寇』/荒川洋治『忘れられる過去』

晴。
かなり良くなる。完治したわけではないが、今日からは仕事に出ねばなるまい。医者によれば五日間ほどは保菌するので、マスクは必携だろうな。他人にうつさないようにしないと。
田中健夫『倭寇』読了。中国にしてみれば、秀吉の朝鮮出兵も大倭寇だったというのは、それはそうだろうな。

倭寇―海の歴史 (講談社学術文庫)

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荒川洋治『忘れられる過去』読了。帯の惹句に「文学は実学である」という、著者の言葉が引用されている。実際は、こう書かれている。「文学は、経済学、法律学、医学、工学などと同じように『実学』なのである。社会生活に実際に役立つものなのである。」(p.152)著者はその前のところで、「この世をふかく、ゆたかに生きたい。そんな望みをもつ人になりかわって、才覚に恵まれた人が鮮やかな文や鋭いことばを駆使して、ほんとうの現実を開示してみせる。それが文学のはたらきである」とも述べている。いずれも、一応異存はない。しかし、それだけでいいのだろうかとも思う。自分が本を読むとき、文学は、読み始めるのに一番覚悟がいる。そこには、こちらの世界を変えてしまうような「毒」があるかもしれないから。最近もし文学が凋落してきているとすれば、その「毒」が希薄になっているためではないと云い切れるだろうか。著者だって、そんなことは百も承知で、敢て述べたことであろうけれども。
 ところで、谷中の「檸檬屋」っていう居酒屋、本当に存在するのだろうか。殆どフィクションとしか思われないのだが、もしかしたら、やはり東京には信じられない場所があるのかもしれない。というか、ぐぐれば分かるよね。

忘れられる過去 (朝日文庫)

忘れられる過去 (朝日文庫)

あまりに寒すぎる。さらに風邪をひいたのではないだろうな…