田澤耕『ガウディ伝』/山口昌哉『カオスとフラクタル』

晴。
琴塚の「龍園」にて昼食。炒飯+焼き餃子で760円。
田澤耕『ガウディ伝』読了。新書だからガウディの入門書かと思って読み始めたが、「ガウディについて日本語で書かれたものは、既に多い」という認識の下で書かれているから、単純なガウディ伝ではなかった。どちらかと言えば、ガウディその人よりも、彼の知人・友人や、彼の生きた時代との関わりの上で、ガウディについて述べてあるという本である。例のサグラダ・ファミリア教会についても、詳しいことは殆ど書いてない。そういう前提で本書を読めば、これはなかなか興味深い本である。平板というよりは、立体的だとも云おうか。とりわけスペインの中の、スペインに対するカタルーニャ地方、中でもバルセロナの独自性ということは、しきりと強調してある。カタルーニャ地方ではスペイン語とは違う、カタルーニャ語が話され、人々は中央に対する文化の誇りと独立心をもっている。ガウディもそういう存在だったのだ。中沢新一の『バルセロナ、秘数3』が、ちょっと思い出されたりもした。

ガウディ伝 - 「時代の意志」を読む (中公新書)

ガウディ伝 - 「時代の意志」を読む (中公新書)

バルセロナ、秘数3 (中公文庫)

バルセロナ、秘数3 (中公文庫)

山口昌哉『カオスとフラクタル』読了。これ、原本はブルーバックスだったのか。最近はカオスもフラクタルも一般にはあまり言わなくなったが、自分が学生の頃は、猫も杓子も言っていたと記憶している。本書は今読んでも充分におもしろいし、カオス・フラクタル入門にいいと思う。あえて云えば、カオスの記述が主で、フラクタルはちょっと言及されているだけなのは、著者の専門にも拠るだろうし、またフラクタル図形を有名にした、美しいマンデルブロ集合の画像が、コンピューターが容易に使えるようになるにつれ、ポピュラーになったせいもあるだろう。本書のマンデルブロ集合の図は、まだモノクロで荒いものだ。まあ、それはどうでもいい。著者は数学者である。再読して、数式の細かいところまで理解してみたくなった。
カオスとフラクタル (ちくま学芸文庫)

カオスとフラクタル (ちくま学芸文庫)