佐藤文隆『ブラックホール』

曇。
カルコスとBOOK OFF岐南インター店。
佐藤文隆、R・ルフィーニ『ブラックホール』読了。実質的には佐藤の単著。三十年以上前の本なので、さすがに素人にも内容が古いのはわかる。しかし(当然ながら)大きく外したところはないし、ちょうど宇宙論の勃興期に書かれたものなので、題材が具体的で、現場の雰囲気がある。ただし、この本で一般相対性理論を学ぼうというのは、初学者向きではないので、止めた方が無難だ。正直言って、学術書としては古びたが、かといって、一般人にはむずかしすぎる。だから、本書の読み方としては、著者は物理学者としてとても優秀な人なので、その本格ぶりを楽しむのがいいと思う。著者は一般相対性理論重力場方程式(いわゆるアインシュタイン方程式)の「富松‐佐藤解」の発見者なので、この解についての考究があるのは、類書が少ない。いずれにせよ、文庫に入るというのが信じられないような本である。

ブラックホール―一般相対論と星の終末 (ちくま学芸文庫)

ブラックホール―一般相対論と星の終末 (ちくま学芸文庫)