町田康『供花』

晴。
町田康の第一詩集『供花』読了。福田和也による文庫解説が気になる。福田はこの詩集の「詩」と、町田のパンク歌手としての「詞」に注目して、フランス詩などの例を参照しつつ、博識で鋭い批評を展開している。さすがと云える力量を見せつけているのだが、実は自分には、町田の「詩」と「詞」の通底性を主張するこの見事な批評が、なんとなく、自分が町田の詩に感じた感興と合わないのだ。町田の詩は「喩」を拒否しているところがあって、俳句で云う「取り合わせ」的な面白さを感じるのだが、そこにおけるパンク性のようなものである。それから、「猿」だの「うどん」だの「地蔵」だのといった、独特の「町田語」とでもいうべき言葉。まあそんなことを真剣に論じ出したら、大変難渋しそうな「論文」になってしまいそうだから、このままお茶を濁しておくが。

供花 (新潮文庫)

供花 (新潮文庫)