ジョージ・オーウェル『葉蘭をそよがせよ』

晴。朝から暑い。

大垣。
ミスタードーナツ大垣ショップ。チーズミートパイ+ブレンドコーヒー393円。チーズミートパイ、なかなかうまかった。
図書館から借りてきた、ジョージ・オーウェル『葉蘭をそよがせよ』読了。うーん、そんなによい小説ってわけでもなくて、作者がオーウェルじゃなかったら翻訳されなかった気がするけれど、でも、全然つまらなかったというわけではない。主人公のゴードンは、貧乏なインテリ気取りで、せっかくよいガールフレンドがいるのに、彼女となかなかうまくいかないのを、いや、何もかもを自分の金がないせいにしたりとか、ほんとダメなやつ。で、せっかく入ったまとまったお金も、めちゃくちゃに浪費してしまって(金がない人間ほど金を使うのじゃなくて、金に使われる)、酔っ払って警官を殴ってしまい、なけなしの仕事も失ってしまう。だけど、ガールフレンドその他がせっかく親身になってくれるのに、スラム暮らしまで堕落するのに何かヒロイズムでも感じて、人の親切を無にするところなんざ、ちょっとアホすぎて、かわいそうで読んでいられなかった。最終的に彼女が妊娠したところで目が覚めて、インテリ気取りはやめて堅実な仕事に戻り、ハッピーエンド、って、下らん小説ですよね(笑)。
 正直言って、この小説でオーウェルが何を描きたかったのか、ちょっとわかりかねるところがある。タイトルに使われている葉蘭(はらん)は小説全体に出てきて、しぶとくてなかなか死なない、ありふれた観葉植物である。さて、主人公は最後、結婚の新居に、彼女が反対するにもかかわらずあくまでも葉蘭を置こうとするのだが、凡庸のしぶとい生命力みたいなものを象徴させているのだろうか。主人公はいろいろ屁理屈をつけて堕落しようとするのだが、心の底ではひどい生活もうんざりだし、彼女と結婚したいのであって、インテリのプライドか何か知らないが、凡庸なハッピーエンドでようございましたとわたしは思う。
 しかし、どうでもいい感想なのだが、主人公のガールフレンドはほんといい娘ですよ、彼にはもったいないくらい。こういうインテリかぶれのクズのどこがいいのかわからないけれど、とにかく向日的な性格で、下らないプライドに塗れた彼を見捨てないで親身になってあげるのだから。主人公は、何かわからない自分の魅力に、感謝すべきであろうかね。

 

NML で音楽を聴く。■ベートーヴェン弦楽四重奏曲第五番 op.18-5 で、演奏はエマーソン弦楽四重奏団NML)。

ベートーヴェン交響曲第九番 op.125 で、指揮はジョン・エリオット・ガーディナーモンテヴェルディ合唱団、オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティク(NMLCD)。最初の三楽章と終楽章とでは、感想がちがう。最初の三楽章は、何よりテンポが速い、速い。せわしなさを感じるくらいだが、ベートーヴェンを裏切っているとはいえない。グレン・グールドの特殊なバッハが、バッハを裏切っていないように。とにかく、残念なところはあるが、目の覚めるような演奏だった。終楽章も同じようにやっているが、音楽がちがうので、ガーディナーほどの音楽家だから、それではいけないことがわかるのだろうな。どうも、確信なく演奏してしまっているようにも感じた。■ブラームスのピアノ協奏曲第二番 op.83 で、ピアノはエミール・ギレリス、指揮はオイゲン・ヨッフムベルリン・フィルハーモニー管弦楽団NMLCD)。第一番を聴いたとき書いたとおり、ピアノも指揮もオーケストラも超一流っていうのがこれだ。ギレリスは日本ではそれほど評価されなかったように思えるが(宇野功芳氏などは毛嫌いしていた)、おかしなことである。最近では、ピアニストのシュ・シャオメイがギレリスを高く評価していたのを思い出す。


夕方、肉屋。残暑が厳しい。


クビキリギスがいるのがわかりますかね。

■イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第五番 op.27-5、第六番 op.27-6 ~ 第一楽章で、ヴァイオリンはルッジェーロ・リッチ(NML)。

夜。
この素晴らしい世界に祝福を!2』第5話まで見る。

E.T.A.ホフマン『ブランビラ王女』を読む。種村季弘訳。