こともなし

雨。
印象的な夢を見る。モノクロだったが、白黒ではなくてセピア色っぽい感じだったかも。

寝ている間に遠い領域に穴が開く。
起きて長時間ぼーっとする。

文藝別冊『吉田秀和』を拾い読みしていて、小澤征爾さんのエッセイに感動する。といっても短いものだが。吉田さんの奇跡的な語学力の重要性を指摘してあって、この本では他にも同じ指摘をいくつか読んだ。なるほどと思う。

松岡正剛の「千夜千冊」がこのところ何回かグノーシス思想を取り上げているのだが、なかなかおもしろい。というか、言っていることは松岡が相かわらずひとりで勝手に納得しているだけでわけわかめだが、わたしの知らなかった本がいくつか紹介されてあってそれが興味を唆る。わたしはハンス・ヨナスしか読んだことがなかったので(ヨナスの本をきちんと理解したとはいわない)。ちなみに、松岡は書いていないが、ヨナスというのはグノーシス思想の研究だけではなく、なかなかの思想家でもある(ハイデガーの弟子だ)。わたしは、岩波書店から『ナグ・ハマディ文書』が全四巻で翻訳されて出ているとはまったく知らなかった。しかし、見事に手近な図書館に架蔵されていない…(さすがは岐阜県クオリティ)。さて、どうするか。
 現代においてグノーシス思想が重要であるという松岡の嗅覚は、わたしはまちがっていないと思う。

風雨強し。
珈琲工房ひぐち北一色店。種村さんの『詐欺師の勉強』の続き。目を通していて、「種村系」の本も若い頃には頑張って読んだのだなと、ちょっと驚く。マリオ・プラーツとか、グスタフ・ルネ・ホッケとか、アウエルバッハとか、バルトルシャイテスとか、そういうやつ。昔は僕も結構読書家だったのかな。でも、ぽつぽつと名著を読んでいるだけで、種村さんの肥やしになっているような(いまでは誰も知らない)有象無象も含めた広範な読書をしていたわけではないので、所詮はニセモノであったが。まあ、そんなものだ。それはどうでもいいので、とにかく種村さんおもしろい。澁澤龍彦も読みたくなってくる。澁澤はメジャーで、種村さんはマイナーで、二人いるところがすばらしいのだな。


鈴木大拙『華厳の研究』を読み始める。ちょっと意外だったが、大拙が若い頃の英文論考の翻訳。しかし、さすがに中身はしっかりしていて、とても参考になる。