家族でいろいろ名古屋行き/星野道夫『イニュニック』

曇。
このところヤフオクをやらねばならぬ(?)仕儀と相成って落ち着かない。心やすらかに(?)ヤフオクしたいと思う。時間も取られるが、入れ込まないようにやりたい。
音楽を聴く。■スカルラッティソナタ K.11, K.12, K.13, K.14, K.15, K.16, K.17, K.18, K.19 (スコット・ロス参照)。すばらしい。

妹がなんでも上の(僕にとっての)甥っ子の習字が選ばれて、名古屋市博物館での習字展みたいなもので公開されているから見たってちょというので、オジイオバアと三人で行ってきました。各務原から名古屋まで、国道22号ですな。いつもながらケチケチで高速は使わず、下を通って 1時間くらいで名古屋城着。父(愛知県出身)が名古屋城へ行ったことがないというので、寄ったのである。母は50年ぶり、僕は25年ぶりくらいか。僕はかつて 1年間名古屋市西区に住んだことがあって、その時に訪れたのだった。で、到着したら駐車場には神戸だの習志野だの宮崎(!)だののナンバープレートの車が停まっていたので、ちょっと名古屋城を見直した(?)感じ。注しておくと江戸時代尾張徳川家は御三家で名古屋城加藤清正らが造った大きい城であったが、天守閣など主要部分は太平洋戦争時の空襲で焼失している。有名な「金のシャチホコ」はどうでもいいというか、そんなのを強調するのはダサい気がする。現存するのは三つの角櫓くらいで、天守閣はコンクリート製である。

あと天守下に最近再建した木造の「本丸御殿」があって、これを観光の呼び物にしようということらしい。入ってみたが、自慢の(疎開されてあった)障壁画はすべて模写であるし(それに、たぶん硬直化したあとの狩野派であろう)、確かに新しい木のにおいはしてきれいではあるが、それほど感銘を受けるというほどでもなかった。河村市長は天守閣も木造で再建して観光の目玉にしようということらしいが、どんなものであろう。それよりも、工事現場用のダサい緑色のコーンがあちこちに置いてあって目ざわりだし、トイレはくさくてきれいでないし、まずはそういう気の利かなさを何とかすべきではないだろうか。なんつーか、いまの人はよく観光しているから、心配りがいきとどいていないのはすぐにわかりますよ。それに、天守入り口には、天守閣は震度6強で倒壊するからご注意とか、イミフなことが書いてあるし。さすが名古屋市
 まあいいや。昼ご飯を城敷地内の食堂で食べたあと、目的の名古屋市博物館へ。甥っ子の習字を見て、こりゃまわりのやつよりうまいぜとか身内バカぶりを発揮したりする。それから(小さな)海苔屋に寄る。以前ネット通販で買って絶品だったのだが、いまではネット販売をやめてしまっているのでついでに寄ったのだった。岐阜から来たといったら感激されて、随分安くしてもらったそうである。で、さらについでの、妹一家のウチへ寄る。楽しく歓談したあと(たまたまテスト期間中で上の甥っ子とも会えた)帰宅。渋滞もあって1時間40分くらいかかった。ちょうど合計100kmの行程でした。着いたらもう真っ暗だったな。

星野道夫イニュニック』読了。星野道夫の世界では生と死が近い。本書を読んで、それがいちばんの印象だった。まず、本書では人がつぎつぎと死んでいく。本書の中で、星野の友人たちは、病気や事故でひとりまたひとりと死んでいくのだ。また、原始に近い自然の中では、もとより生と死はほんの偶然でわかれる。オオカミがカリブーを襲うとき、どの個体が殺されるかは、もちろんカリブー自身の力量もあるだろうが、やはり運の要素がとても大きいのだ。そもそも、野生動物の個体の力量自体、運みたいなものであろう。そしてキスカ島の話の中のエピソードのように、我々がふと花を摘むとき、どの個体を選択するかというのも、花にとってはまったくの偶然であろう。本来的には、このように生と死は近いものなのだ。星野道夫の一生というのは、そのことを確認し続けたそれだともあるいは言えるのかも知れない。我々文明人は、そういう世界からあまりにも遠くへ来てしまった。このような本などに出会ったときだけ、我々は本来性を一瞬だけ回復した気分になれるのだと思う。

イニュニック 生命―アラスカの原野を旅する (新潮文庫)

イニュニック 生命―アラスカの原野を旅する (新潮文庫)


1624夜『南方熊楠全集』南方熊楠|松岡正剛の千夜千冊
松岡正剛の千夜千冊が南方熊楠を扱った。さすがに松岡正剛でおもしろい。なんて自分のような者がいうのはお笑いなのだが、実際そうなのだから仕方がない。まあ、僕には松岡正剛はわからないのだけれど。それにしても南方熊楠どころか、この千夜千冊で言及のある中沢さんや松岡正剛の世界にもまるで到達しない自分を思うと、とっても残念である。頭のいい人はいいなあと思う。まあそれでも自分の畑を耕すしかない。