高橋源一郎『デビュー作を書くための 超「小説」教室』

晴。
夜更かし。朝寝坊。
音楽を聴く。■シューベルト:ピアノ・ソナタ第二十番 D959 (アラウ、参照)。アラウのお陰で、ようやくこの曲がわかってきた。
図書館から借りてきた、高橋源一郎『デビュー作を書くための 超「小説」教室』読了。このような題の本を読んだからと云って、小説を書こうというわけではありません。だいたい、この本は小説指南でないことはないが、特殊なそれである。本書の構成は、主要部分が著者の書いた「小説新人賞の選評」を収録したものである。それに加えて、新人賞がどういうものかなど、小説新人賞を巡る著者へのインタビューを再構成したものが収められている。それによると、新人賞の選考というのは、偉そうな選考委員が新人の小説をあげつらい、裁断を下すみたいなものとは、正反対のものなのだとわかる。逆に、どうにかして小説のいいところを(必死に?)発見しようという、そういう態度で行われるものだというのだ。そして、たとえ小説に破綻があっても、冒険精神を高く評価するものであると。それは、小説がまさしく「自由」なものであるという、小説の本質に拠っている。だから、本書は、小説そのものを対象にする、一種の「批評」と捉えることもできるだろう。そういう点から見て、初めて小説を書こうという人は、本書から大きなものを受け取らねばならないだろう。きっと役に立つ筈である。もちろん、自分のような勝手な読者にも本書はとてもおもしろい。源一郎さんはいつも、小説よりおもしろいものは存在しないと言っているが、僕もそういう境地に至りたいものだと思う。僕の小説に対するイメージは、自分を根底から変えてしまうかも知れない、非常に危険なものだというそれである。現実にはそういう小説はそんなにはないが、そうしたイメージは変わらない。たぶん源一郎さんも、似たような感覚なのではないかと、勝手に思っているのだが。


何かネットのレスポンスが異様に悪いなと思っていたら、プロキシ・サーバを通す設定にしていたことをすっかり忘れていた…。こんなに遅くなるのだな。WEBrick で遊んでいた時に外部からのアクセスを仮構するために使っていただけなので、いまはもちろん無意味だから速攻で設定を戻した。