池内恵『イスラーム国の衝撃』

晴。
音楽を聴く。■ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第二番op.19(アルゲリッチ、ガブリエル・フムラ、参照)。この曲が聴きたかったので。一昨日と同じ演奏ですけれど。■シューベルト弦楽四重奏曲第六番D74(コダーイQ)。

Complete String Quartets 5

Complete String Quartets 5

シューベルト:ピアノ・ソナタ第十七番D850(内田光子参照)。この曲がこんなにおもしろい曲だったとは。終楽章は虚無なのか何なのか。『海辺のカフカ』に出てくるのって、この曲だったっけ。

池内恵イスラーム国の衝撃』読了(電子書籍版)。人質事件以前の本であるが、その背景にも関連しているし、これからのことについても極めて有益であると確信する。中身がぎっしり詰まっているし、僕などが云うことではないが、著者がとても優秀であることは明らかだ。内容は僕などが要約できるようなものではないので、実際にお読み頂きたい。その価値は充分にあると思う。少しだけ書いておけば、イスラーム国があっという間に大きくなったのは、その支配領域がイラクスンニ派多数地域に重なっていることと関係があり、これ以上の拡大はそう簡単にはいかないらしい。また、「思想」的には、イスラーム教の教えを極めて巧みに取り込んでおり、多くのイスラーム教徒に無理なく受け入れられるものを造り上げている。また、いわゆる「アラブの春」により、アラブ各国の中央政権の力が及びにくい地域が多くできたことも、その拡大に大きく寄与している。等々。日本に関しては、中東におけるアメリカのプレゼンスが低下している現在、中東の情況が変わり、中東からは遠い日本が巻き込まれる可能性を既に指摘しており、これは残念ながら現実化した。
 日本に関しては、事態はまだ始まったばかりである。まずは、本書のような優れた情報源を一般人も活用すべきであろう。変な話だが、安倍首相はこれを好機と捉えるような人物である。それを肯定するにせよ否定するにせよ、本書は必読であると言ってよい。まずはできるだけ正確な把握を。
イスラーム国の衝撃 (文春新書)

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