渡辺京二『無名の人生』

日曜日。曇。
音楽を聴く。■モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲K.299(アンサンブル・シェーンブルン)。大好きな曲なので、いい演奏で嬉しい。この曲、最もモーツァルトらしいそれのひとつだろう。古楽器演奏もまったく違和感がなくなったな。じつに自然。それにしてもフルート、上手いね。

2 Concertos for Flute/Concerto Flute & Harp

2 Concertos for Flute/Concerto Flute & Harp

モーツァルト:弦楽五重奏曲第六番K.614(オルランドQ、今井信子参照)。■バルトーク:ピアノ協奏曲第一番(アシュケナージショルティ参照)。アシュケナージの手にかかると、バルトークでもじつにやさしい曲に感じる。まあ、もう少しむずかしく(?)弾いてもいいような気もするが、聴きやすいバルトークがあってもいいだろう。ショルティの指揮はさすが。■ツェルニー:ピアノ・ソナタ第一番op.7(マーティン・ジョーンズ)。Wikipedia。つまらん曲だなあと思って聴いていたら、フーガ風の終楽章がいいので驚いた。ここだけアンコール・ピースとして弾かれてもおかしくないくらいの出来だと思う。
Piano Sonatas Vol. 2

Piano Sonatas Vol. 2


渡辺京二『無名の人生』読了。著者初の語り下ろし。著者のことは敬意を払っていて、本書で述べられていることも概ね賛成。しかし、渡辺さんは現代に対する認識がちょっと甘いのではないか。今は例えば、人間がますます人工球体の中で暮らすことになっている時代だとも云えよう。渡辺さんは、そのような人工球体から出ることは簡単だと、そう言っているのだと思う。実際、それはその通り。しかしそれにもかかわらず、殆どの人間は人工球体から出ない、そういう一生を送ることになる。それでは、渡辺さんの引く、吉本隆明の云うところの「大衆の原像」はどうなるのか。人工球体から出て、自分だけ開放された生き方をすればよいのか。そこのところだと思う。
無名の人生 (文春新書)

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