近藤和彦『民のモラル』

晴。
うどん「恵那」にて昼食。恵那ころ蕎麦。大変に待たされたが、うまかったので許す。って商売はこういうものですなあ。これでうまくなかったら、二度と来るかなのだが。
音楽を聴く。■モーツァルト交響曲第三十九番K.543(ベーム参照)。ベームモーツァルト、いいなあ。■ドビュッシー前奏曲集第二巻(ツィマーマン、参照)。さすがに素晴らしい。現代的なピアニズムによる名演。■ドビュッシー:フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ、シランクス、クラリネットとピアノのための第一ソナタクラリネットとピアノのための小品、ヴァイオリン・ソナタ、チェロ・ソナタ(アテナ・アンサンブル)。まあまあ。フルート、ヴィオラとハープのためのソナタと、チェロ・ソナタがいいかな。この中では、チェロ・ソナタが一番好きだ。

Sonata for Flute, Viola & Harp / Cello Sonata

Sonata for Flute, Viola & Harp / Cello Sonata

■ペンデレツキ:交響曲第三番(ペンデレツキ)。ショスタコーヴィチを思わせるところがある。ちょっと纏まりがないかも。密度は高い。
Symphony No. 3

Symphony No. 3


近藤和彦『民のモラル』読了。副題「ホーガースと18世紀イギリス」。仮に一国の文化を「エリート文化」と「民衆文化」に分けた場合、本書は後者を扱っている。もちろん後者には、単純に歴史の表を扱っていては肉薄できないから、それにはある種の工夫が必要であり、著者の自慢があればそこであろう。大雑把に云えば、「民衆文化」の掘り起こしは、自分がここで書くまでもなく、国を問わず、ある時期からの西欧史学のトレンドではあった(例えばバフチン)。本書は何となく山口昌男を思い出させるようなところがあるが、山口ほど早くないにせよ、著者の本書での試みは、西欧でのトレンドにいち早く反応してみせたものでもあろう。もっとも、それは本書で見られるとおり、決して付け焼き刃のものではない。そこのところに、まあ自分が云うようなことでもないが、著者の実力を感じさせる。本書でホーガースを持ち出してきたのも、著者の意図はよくわかる。流行の図像学などに囚われていないところも、好感が持てるのだ。ただ、本のタイトルはちょっと大雑把すぎるかも知れない。