晴。
音楽を聴く。■ドビュッシー:チェロ・ソナタ他(ジャン=ギアン・ケラス、タロー)。普通の演奏。
Debussy, Poulenc: Queyras Tharaud violoncelle piano
- アーティスト: Claude Debussy,Francis Poulenc,Alexandre Tharaud
- 出版社/メーカー: Harmonia Mundi Fr.
- 発売日: 2008/10/14
- メディア: CD
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図書館から借りてきた、飯田真と中井久夫との共著『天才の精神病理』読了。解説は養老孟司。本書は病跡学 pathography の書であり、対象は西洋の科学者たちである。自分は病跡学の本を読むのは初めてであるように思うが、偉人たちを「精神病者」扱いをするのに反発を抱くかと予想していたのに対し、実際はとても面白く読めた。対象者たちの心理面に、大きく踏み込んだ小伝集という印象を抱いた。対象になっているのは、ニュートン、ダーウィン、フロイト、ウィトゲンシュタイン、ボーア、ウィーナーである。いずれも錚々たる顔ぶれであり、これが面白くない筈はない。本書では、科学者たちのタイプが、躁鬱型と分裂病型に大別されており、この区別は妥当であるように思われる。無から有を打ち立てる、如何にも天才的に見えるのは後者であり、しかし彼らは周囲の世界とはあまりうまくやっていけず、創造のあり方も、爆発的ではあるが、持続性には欠けるとされる。その学問は、第一原理からの演繹になりがちである。具体的には、本書ではニュートン、ウィトゲンシュタインなどであり、アインシュタインも明らかにそうであろう。他方、前者(躁鬱型)は、混沌の中に少しずつ秩序をもたらしていくようなやり方であり、その創造性は長く続くことが多い。ダーウィン、フロイト、ボーアなどがこのタイプである。明らかな天才のようには見えないところもあるが、静かに大革命をもたらすことがあり得よう。
このようなタイプ分けは比喩的なところもあるが、天才たちの激しい知的格闘は、現実的に病を呼び寄せるところもある。「創造の病」とは、よく云われるところである。しかしやはり、常識的には精神の病を簡単に「比喩」にするべきではないであろう。もとより、本書にはそうした安易なところはほとんど感じられない。本書はかなり以前の本であるが、一般人が今読んでも面白いところがたくさんある。類書のほとんどない時点で、大きな成果を上げたと云えるのではあるまいか。
- 作者: 飯田真,中井久夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2001/07/16
- メディア: 文庫
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- 作者: 赤攝也
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2014/03/10
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