バルザック『オノリーヌ』/天井裏にアライグマ

晴。
音楽を聴く。■モーツァルト交響曲第三十五番「ハフナー」(ベーム参照)。これで充分。■アルビノーニオーボエ協奏曲op.9-5,9-8(ホリガー、参照)。■ブラームス:ピアノ協奏曲第一番op.15(ゼルキン、セル1968)。吃驚仰天。この曲のピアノは、高度な技術と音楽性が要求される、大変にむずかしいものであるが、これは若きポリーニの飛んでもなく熱い演奏に匹敵する、この曲最高の名演のひとつである。何という剛直な演奏。ゼルキンの技術がこれほどのものだったとは、これまでゼルキンを甘く見ていたことを痛感させられた。どの楽章も素晴らしいが、終楽章の疾走感はすごい。セルの指揮も最初はミスマッチかと思ったが、そうではなかった。この曲はブラームスの中で自分が一番大切にしているものなので、嬉しい驚きだった。

Piano Concerto 1/Handel Variations

Piano Concerto 1/Handel Variations


バルザック『オノリーヌ』読了。短篇集。表題作の他、「二重の家庭」「捨てられた女」を含む。どれもレヴェルは極めて高いが、やはり「オノリーヌ」が特に傑作だ。オノリーヌはオクターヴ伯爵の元妻であり、伯爵との結婚生活を嫌悪以外の対象とは見ず、伯爵とはまったく関係のないところで暮らしていると自らは思っている。しかし、その生活は、密かに伯爵が完全にコントロールしているのだった。そこに伯爵の秘書として登場するモーリスは、伯爵の命を受けてオノリーヌを恋愛の罠にかけようとする…。本作以外も、どれも恋愛と欲望の化学反応が驚くべき結末を招き寄せるというところがあり、その精緻な描写はさすがにフランスの小説らしい特徴であろう。これほど複雑な恋愛が小説化されている言語は、他にちょっとあり得ないだろうね。「人間喜劇」に属する作品たちなので、ここでも登場人物がかぶっている(しかし本書の作品は、どれも「喜劇」とは云いにくいけれども)。お話としてもさすがに面白いことは、保証したい。
オノリーヌ: バルザック・コレクション (ちくま文庫)

オノリーヌ: バルザック・コレクション (ちくま文庫)


ウチの風呂場の天井裏で何かデカい奴がゴソゴソしていると思っていたら、何とアライグマ(!)が入り込んでいたらしい。母が見た(顔はかわいくて、しっぽが縞々)。アライグマは甘くて油っこいもの(キャラメルコーンとか)が好きなそうなので、父が油揚げに砂糖をまぶしたもの(マジです)で罠を掛けたが、まあこんなものでは捕まらないだろうな。しかし、何でこんなのが居るんだ?