澁澤龍彦編『夢のかたち』

晴。
澁澤龍彦編『夢のかたち』を読み返す。「言葉の標本函」と題された断片アンソロジーで、古今東西の文献から夢に関する断片を集める、驚くべき本だ。恐らく、澁澤龍彦以外には不可能だったであろう。こうした本を読むと、冥い幻想に惹かれる自分の資質を思い出す。なお、中沢新一の巻末エッセイは、彼のどの著書にも収録されていないのではないか。他人と共同で夢を見るという修行に関するエッセイである。


タルいなあという感じで音楽を聴き始めたのだが、■ベートーヴェン交響曲第一番(フルトヴェングラー1950)がカッコよすぎるでしょう。特に終楽章。就寝前だが目が覚めた。■ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第十一番(ペライア)。よい。■ショパン:ピアノ協奏曲第一番(ペライア、メータ)。旧盤。模範的な演奏だ。もしかしたら、ショパン自身の演奏もこんな感じだったかも知れないと思わせるような、センシティヴな面もよく出ている。どちらかと云えば曲の内容の薄い第二楽章など、感心して聴いた。ただこの曲には、若きポリーニの異常に甘くせつない演奏があるので、それとつい比較してしまうのだが。ペライアの方が正統的なショパンだとは云えようか。■シューマン:ピアノ協奏曲op.54(リヒテル、ロヴィツキ)。指揮はヘボいが、リヒテルはさすが。この曲も甘いなあ。(AM2:04)