晴。もう冷房が日常化。
音楽を聴く。■スカルラッティ:ソナタ集(ペライア)。最初の二曲以外は初めて聴く曲。ピアノによる細かな表情をつけた演奏で、もちろんスカルラッティは、このような演奏も許容するのである。じつに音楽的。もっと聴いていたいなと思う。■マーラー:交響曲第一番(インバル1985)。第一楽章は、細かなニュアンスもドライブ感も乏しい凡演。第二、第三楽章は、持ち直してよかった。終楽章は微妙なところ。インバルの指揮は、はっきりとした統率感に乏しいのではないか。
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梶井基次郎『檸檬』読了。短篇集。ほとんどの作品を読んでいる筈であるが、うろ覚えのものが多い。「檸檬」すらそうなので、呆れてしまう。やはりその「檸檬」と、「冬の蠅」が傑作だと思う。それから、「愛撫」を読み始めたところで、あっと思った。というのは、猫の耳は切符切りをパチンと入れたくなる、という話、澁澤龍彦が『玩物草紙』で書いていたのを鮮明に覚えているからだ。梶井の文章を澁澤が読んでいない筈はないから、澁澤は知っていて敢て断らなかったのだろう。
また、「檸檬」に出てくる、有名な京都の丸善だが、自分が岐阜に戻ってきた頃、閉店したという。もちろん自分が知っているのは、梶井の頃の丸善とはまったくちがうけれども、その頃ですら「檸檬」の真似をする奴がいたらしい。自分が通うようになった頃は、洋書売り場は陰気な感じだったが、そこへ行くのは大学生になったという感じを強く与えてくれたのではなかったか。最後の頃は一度リニューアルして、洋書も理系の渋い専門書などまで揃えてあったが、ニーズがなかったのだろうな。洋書がアマゾンその他で簡単に買える今では、もうあり得ない話である。
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