晴。
音楽を聴く。■リヒテル晩年の、ベートーヴェン・リサイタルを聴く。曲はピアノ・ソナタ第十九番、第二十番、第二十二番、第二十三番「熱情」(1992)。最初の三曲は、ベートーヴェンのピアノ・ソナタの中ではマイナーで、小さな曲であるが、まあなんとも見事な演奏であることよ。往々にして少々詰まらぬ曲たちなのだけれども、リヒテルは誇張もなく有りのままに弾いて、間然とするところがない。やはりベートーヴェンの曲で、おもしろいのである。何という曲の把握力であるか。「熱情」はリヒテルお得意の曲で、若い頃から散々弾いてきて、ライブ録音も何種類も出ているものである。さすがに全盛期の演奏とは同列に語れないが、詰まらぬ演奏だと思ったら大間違いだ。これもまた、最高の芸術のひとつであることは疑いない。予想されるとおり、第二楽章の深さは云うまでもないし、終楽章はここではめちゃくちゃなテンポで弾かれることはなく、極めて音楽的である。褒めすぎですかね。でも、そう聞こえるのだから仕方がない。こういうベートーヴェンが弾けるピアニストは、現代にはもうひとりもいない。
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早寝。